2013-12-30から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第1000話

才一や今息が切れたらどうするか はい はいあなたの中で切れますええなあ 世界 虚空が皆ほとけ わしもそのなかなむあみだぶつ (浅原才一) 才一とは、妙好人(みょうこうにん)と呼ばれた、念仏信者浅原才一さんのことです。息が切れたらとは、息が尽きたら…

木魚歳時記 第999話

ありがたいな こんな如来さんはどこへでも わたしが行くところに付いて来なさる ありがたいな (浅原才一) 仏(ほとけ)すなわち如来(にょらい)の「慈悲」(じひ)と説きます。仏(ほとけ)すなわち如来(にょらい)は、わたしたちの行くところについてき…

木魚歳時記 第998話

この道は この世の奥をつきぬけて十方億土へ つづいているようです (榎本栄一) 十方億土(じっぽうおくど)とは極楽浄土のことです。お釈迦(しゃか)さまは、お生まれになるなり七歩あゆまれ、天地を指さして「天上天下唯我独尊」と申されたと伝えられて…

木魚歳時記 第997話

うぬぼれは 木の上から ボタンと落ちた落ちたうぬぼれはいつのまにか また木の上に登っている(榎本栄一) 「うぬぼれ」「おもいあがり」のことを、仏教では「驕慢」(きょうまん)というむつかしい用語で説きます。そしてこれを煩悩(ぼんのう)の一つに数…

木魚歳時記 第996話

私の中 覗いたらお恥ずかしいがたれよりも 自分が一番かわいいという思いコソコソうごいている(榎本栄一) 煩悩(ぼんのう)の代表的なもの「貪」(とん)があります。貪(とん)とは<むさぼり」>の心のことです。我欲(がよく)ともいいます。欲望が必ず…

木魚歳時記 第995話

女あり二人行く若きは うるるわし老いたる なお うるわし ホイットマンの詩です。ぼくの先生がげっそりとお痩(や)せになりました。みるからに痛々しいかぎりです。奥様を亡くされたのが原因と推察します。その先生がぽっつりと洩らされました。「生れたか…

木魚歳時記 第994話

いくたびも裏切られ、いくたびも欺かれて、心はかたく、かたく石となるとも、その底より水は湧きいで、つらぬきて泉は流る 生田春月さんの詩の一節です。いくたびも裏切られ、欺(あざむ)かれ、自分の心が石となっても、心の底から、それをゆるす気持ちが泉…

木魚歳時記 第993話

仏に帰依し奉る法に帰依し奉る僧に帰依し奉る 「仏」(ぶつ)とは、歴史上の人物である釈迦(しゃか)のことです。「法」(ほう)とは釈迦(しゃか)の説かれた仏教教典のことです。「僧」(そう)とは仏教経典を弘め伝えようと努力する者たちのことです。 …

木魚歳時記 第992話

わたしが両手をひろげても、お空はちっともとべないが、とべる小鳥はわたしのように地面をはやくは走れない。わたしがからだをゆすっても、きれいな音はでないけど、あの鳴るすずはわたしのように、たくさんなうたは知らないよ。すずと、小鳥と、それからわ…

木魚歳時記 第991話

散ったお花のたましひは、みほとけさまの花ぞのに、ひとつのこらず生れるの。だってお花はやさしくて、おてんとさまがよぶときに、ぱっとひらいて、ほほえんで、ちょうちょうにあまいみつをやり ひとにゃにおいをみなくれて、風がおいでとよぶときに、やはり…

木魚歳時記 第990話

上の雪さむかろな。つめたい月さしていて。下の雪重かろな。何百人ものせていて。中の雪さみしかろな。空も地面(じべた)もみえないで。(金子みすゞ) 上の雪とは、澄みきった心で自身の<さとり>を求めて修行する菩薩(ぼさつ)の姿です。下の雪とは、自…

木魚歳時記 第989話

こっつん こっつん打(ぶ)たれる土はよい畠になってよい麦生むよ朝から晩まで踏まれる土はよい路になって車を通すよ。打たれぬ土は要らない土か。いえいえそれは名のない草のお宿をするよ。 (金子みすゞ) 仏(ほとけ)に成るとは、世の中の真理に目覚める…

木魚歳時記 第988話

私がさびしいときに、よその人は知らないの。私がさびしいときに、お友だちは笑うの。私がさびしいときに、お母さんはやさしいの。私がさびしいときに、佛さまはさびしいの。(金子みすゞ) 生きとし生けるもの、すべて、仏(ほとけ)と成る種子を宿してこの…

木魚歳時記 第987話

小ちゃな雀が死んだのに、芥子は真紅に咲いている。知らないのです知らせずに、こっそりそばを通りましょう。もしもお花がきいたなら、すぐにしぼんでしまうから。(金子みすゞ) 浅原才一さんは、妙好人(みょうこうにん)と呼ばれた念仏信者です。才一さん…

木魚歳時記 第986話

蜂はお花のなかに、お花はお庭のなかに、お庭は土塀のなかに、土塀は町のなかに、町は日本のなかに、日本は世界のなかに、世界は神さまのなかに、さうして、さうして、神さまは、小ちゃな蜂のなかに。(金子みすゞ) 小沢昭一さんの話はおもしろい。それは「…

木魚歳時記 第985話

お花が散って実が熟れて、その実が落ちて葉が落ちて、それから芽が出て花が咲く。さうして何べんまわったら、この木は御用がすむかしら。(金子みすゞ) 釈迦(しゃか)は、35歳で「すべてはうつり変わる」。「すべてはかかわりあう」。この二つの真理につ…

木魚歳時記 第984話

きのうは子どもをころばせてきょうはお馬をつまずかす。あしたはだれがとおるやら。いなかのみちの石ころは赤い夕日にけろりかん。(金子みすゞ) 二つの真理は「無常」(むじょう)と「無我」(むが)の用語で説かれます。これは「この世のすべてはうつり変…

木魚歳時記 第983話

下から子供が「ざくろさん、熟れたら私にくださいな。」上からからすが「あほかいな。おさきに私がいただこよ。」あかいざくろはだんまりで、下へ、下へと、たれさがる。 (金子みすゞ) 「求不得苦」(ぐふとっく)とは。だれでも老・病・死から逃れたいと…

木魚歳時記 第982話

泥のなかから 蓮が咲く。それをするのは 蓮ぢゃない。卵のなかから鶏がでる。それをするのは鶏ぢゃない。それに私は気がついた。(金子みすゞ) 出家者(しゅっけしゃ)の清らかさはどこから? シッダルタはその境地に至るため、6年間の苦行(肉体の鍛錬と…

木魚歳時記 第981話

垣がひくうて朝顔は、どこえすがろとさがしてる。西もひがしもみんなみて、さがしあぐねてかんがえる。それでも お日さまこひしうてけふも一寸また伸びる。(金子みすゞ) シッダルタ王子は18歳でヤショダラ妃と結婚をされ、ラフーラという男子をもうけら…

木魚歳時記 第980話

母さん知らぬ草の子を、なん千万の草の子を、土はひとりで育てます。草があをあを茂ったら、土はかくれてしまうのに。(金子みすゞ) 父シュドダナ王と母マーヤ夫人の間に長男として生れたシッダルタは、将来、国王としての地位を約束されていました。しかし…

木魚歳時記 第979話

子供が 小雀つかまえた。その子の かあさん笑ってた。雀の かあさんそれみてた。お屋根で 鳴かずにそれ見てた。(金子みすゞ) 或る日、王子シッダルタ(後のシャカ)は、父のシュドダナ王と郊外へ遊行に出られました。そのときこんな光景を目にされたのです…

木魚歳時記 第978話

その人を知らざれば その友を見よ 『往生論註』(おうじょうろんちゅう)にあることばです。「一緒にいる仲間をみれば、その人の人柄がわかる」ということです。 『続・木魚歳時記』(最終回)は、鴉シリーズでしめくくることにしました。鴉は、どちらかとい…

木魚歳時記 第977話

法を灯火とし よりどころとせよ 『遊行経』(ゆぎょうきょう)にあることばです。法(ほう)とは仏教のことです。すなわち「仏教経典にある教えをよりどころとし、それをヘッドランプとして自身の進路を進みなさい」ということです。 釈尊(しゃくそん)は晩…

木魚歳時記 第976話

今日すべきことを明日に延ばさず 『法句経』(ほっくきょう)にあることばです。やさしい教えです。むつかしいことはなにもありません。ただし実行するとなると・・ 浄土真宗を開かれた親鸞聖人(しんらんしょうにん)さまに「明日ありとおもふ心のあださく…

木魚歳時記 第975話

まるい器に水を入れるとまるくなる 『首楞厳三昧経』(しゅりょうごんざんまいきょう)にあることばです。「水は方円(ほうえん)の器に従う」という荀子(じゅんし)のことばが有名です。これは「朱に交われば赤くなる」の意味に受けとられています。 仏教…

木魚歳時記 第974話

足るを知るは第一の富 『法句経』(ほっくきょう)にあることばです。知足(ちそく)とは「足(た)ることを知る」の意味です。 石庭で有名な京都の竜安寺に『吾唯足知』(われただたることをしる)と刻んだつくばい(手洗)があります。中央に「口」を刻み…

木魚歳時記 第973話

後生大事 後生大事(ごしょうだいじ)は『法華経』(ほけきょう)にあることばです。この世を前世(ぜんせい)とするならば、死後ふたたび生まれ変わる<後の世>を後生(ごしょう)といいます。<この世>で仏法を聞いた者は<あの世>(後生)で安楽(あん…

木魚歳時記 第972話

道を求める人は静に考えて輝く 『法句経』(ほっくきょう)にあることばです。仏道修行にかぎりません。仕事に生きがいを感じ打ち込む人をみると、上記のことばの意味がよく理解できます。 浄土宗を開かれた、法然上人(ほうねんしょうにん)のお歌に「月影…

木魚歳時記 第971話

言うは易く行うは難し 弘法大師の『秘蔵宝鑰』(ひぞうほうやく)にあることばです。「口先でいうことは誰にでもできる」という、ごくあたりまえのことです。 真言宗を開かれた弘法大師(こうぼうだいし)は「よく読み、よく言うだけなら、おうむでもまねす…