2013-12-29から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第928話

人を先にし自分を後にする 『遊行経』にあることばです。わたしたちの日常はつねに欲望が基本になっています。そのために励(はげ)むことができるのですから、欲望をいちがいに悪いとはいえません。 「人を先にして自分は後にする」。仏教ではこれを「菩薩…

木魚歳時記 第927話

心の静かな人は安らぎを得る 『首楞厳経』(しゅりょうごんきょう)のことばです。仏教の教えにしたがって心静に生きる人は、安らぎの人生を送る。 中国浄土教の祖・善導大師(ぜんどうだいし)はつぎのようにいっておられます。「人、生まれて精進(しょう…

木魚歳時記 第926話

大事は小事より起こる 『老子』(ろうし)にあることばです。困難な問題も容易なことからはじまり、大きな過(あやま)ちも小さな事からはじまる・・という意味です。 『法句経』(ほっくきょう)に「小悪を軽(かろ)んじ、以(もつ)て殃(わざわい)と為…

木魚歳時記 第925話

中道に立つ イエスとノーをはっきりとさせる欧米の考え方からすると、日本人は<あいまいな>国民性を持つと見られがちです。「中道(ちゅうどう)とは、この日和見主義(ひよりみしゅぎ)とか<あいまい>な態度とは違います。 「中道」(ちゅうどう)は、…

木魚歳時記 第924話

善きことには急ぎおもむくべき 『法句経』(ほっくきょう)の中にあることばです。善(よ)きことには、急いで近づくことが大事ですよという意味です。 釈迦(しゃか)は「善(よ)き仲間といっしょに修行(しゅぎょう)している人は、やがて、その人の修行…

木魚歳時記 第923話

諸行無常 「諸行無常」(しょぎょうむじょう)とは「この世の<もの>現象は常に変化して一定することはない」という仏教の基本的な教えです。 一休禅師(いっきゅうぜんじ)は「元日や冥土(めいど)の旅の一里塚、めでたくもありめでたくもなし」と詠われ…

木魚歳時記 第922話

息を吸ってつぎに吐く 寒くなり始めました。冬にむけて、息が白くなるのを見ると、呼吸をしている自分に気がつきます。生きていることを実感します。 『一夜賢善経』(いちやけんぜんきょう)に、「過ぎ去れるを追うことなかれ いまだ来らざるを念(おも)う…

木魚歳時記 第921話

誘惑につられる 夕方になって、蛇は塚に、ワニは水に、鳥は空に、犬は村に、狐は野に、猿は森に、それぞれ帰るつもりでした。が、その日は、力の強いワニに引きずられ、みんなが川に入り、ワニの他はおぼれ死んでしまいました。これは『比喩経』(ひゅきょう…

木魚歳時記 第920話

天から降ってきた一粒の水滴 大乗(だいじょう)、小乗(しょうじょう)といいます。お浄土に渡るための、大きな乗り物、小さな乗り物の意味です。 「天から降ってきた一粒の水滴がよせあつまり流れとなる。どの水滴がどの水滴とくっつくかまさに偶然、出逢…

木魚歳時記 第919話

正しくものを見る 釈迦(しゃか)は「正見」(しょうけん)、つまり、正しくものごとを見つめることにより悟りに達せられたといわれています。 「わが身は汚れたもので執着(しゅちゃく)すべきでない。どのような感じを受けても、それはすべて苦のもとであ…

木魚歳時記 第918話

やさしいまなざし 釈迦(しゃか)は「無財の七施」(むざいのななせ)を説かれました。お金がなくともできる七つの「布施行」(ふせぎょう)、つまりボランティアのことです。 わけあたえるものがない人でも、あたえることができる宝物が七つあります。身施…

木魚歳時記 第917話

心を大地のように広く 薬師寺(奈良)の復興を発願(ほつがん)され、写経勧進(しゃきょうかんじん)により、その大事業を完成された高田好胤(こういん)師の「心。ひろく、ひろく、もっとひろく」のことばを思いだします。 『鋸喩経』(きょゆきょう)の…

木魚歳時記 第916話

彼も人なり我も人なり 中国の詩人韓愈(かんゆ)のことばです。福沢諭吉(ふくざわゆきち)には、おなじような意味の「天は、人の上に人をつくらず。人の下に人をつくらず」のことばもあります。 観無量壽経(かんむりょうじゅきょう)の中に「汝(なんじ)…

木魚歳時記 第915話

工夫を凝らす 学ぶとは<まねる>ことから始まる。これはよく耳にすることばです。俳句の世界でも、多くの名句・秀句・佳句に接することが上達の近道と教えられています。 ところで、その人の資質や体力など、個人の能力にはそれぞれ個人差があります。さら…

木魚歳時記 第914話

短を捨て長を取る 「漢書」(かんしょ)にあることばです。はじめは<いい人>だと思っていても・・ながくいっしょにいるうちに<嫌(いや)な人>に変ることはあるものです。 仏教では「四苦八苦」(しくはっく)を説きます。その中に「怨憎会苦」(おんぞ…

木魚歳時記 第913話

大事は小事より起こる 「老子」(ろうし)にあることばです。大事(だいじ)、つまり大きな仕事を行うときには、小事(しょうじ)、つまりささいに見えることにも注意を向けなさい。でないと、思わぬ油断(ゆだん・油が切れること)の失敗が待っていますよ。…

木魚歳時記 第912話

好きの道に辛労なし 「好きの道に辛労(しんろう)なし」とか、また「好きこそ物の上手なれ」とはよく云ったものです。たしかに好きなことをしているときは時間が過ぎるのも早く、疲れも残りません。 『無量壽経』(むりょうじゅきょう)の中に「たとい身を…

木魚歳時記 第911話

心をいつも平らかに 『四十二章経』にあることばです。心が平静(へいせい)でないと、ものごとを正しく見ることができません。波うつ水面には、ものの影が正しく映らないようなものです。 わたしたちはつねに心がゆれうごきます。このように、心をいつも平…

木魚歳時記 第910話

道は自然に法る 「道は自然に法(のっと)る」とは「老子」にあることばです。人間も、自然に、すなおに生きていくのがいいようです。仏教では「人間の踏み行うべき道」として『一切漏経』(いっさいろきょう)に次の五項目を挙げます。 1、ものの見方を正…

木魚歳時記 第909話

物に本末あり事に終始あり 「物に本末(ほんまつ)あり、事に終始あり」とは『礼記』(らいき)にあることばです。問題を解決するためには、ものごとの始まりを考える必用があります。 仏教でいう本末(ほんまつ)とはどういうことでしょうか? 『無量壽経」…

木魚歳時記 第908話

一日の後れは十日の遅れ 「明日には明日の風が吹く」((『風と共に去りぬ』)ではありませんが、ぼくもこのごろはケセラセラ、そんな気分で日々を過ごしています。かなり几帳面(きようめん)な人生を過ごしてきた反動かもしれません。 親鸞聖人(しんらん…

木魚歳時記 第907話

今日一字を覚え 明日一字を覚え 江戸時代の儒者(じゅしゃ)・中井竹山のことばです。「千里の行(こう)も一歩より始まる」の意味でしょうか。 仏教では「精進」(しょうじん)を説きます。仏教の実践項目を挙げた「六波羅蜜行」(ろっぱらみつぎょう)の四…

木魚歳時記 第906話

三人よれば文殊の知恵 自然光(太陽光)をプリズムで分析すると七色に見えることがあります。これを逆にいうと、自然光は七色の合成によってできていることになります。 (『阿弥陀経』・あみだきょう)に、極楽浄土(ごくらくじょうど)を描写(びょうしゃ…

木魚歳時記 第905話

道を得て道を伝える 2500年ほど昔、インドの北東部(現在のネパール領カトマンズ空港の周辺)にカピラバストゥという町がありました。そのあたりに釈迦族(しゃかぞく)が住んでいました。 釈迦族(しゃかぞく)の王子シッタルタは、29歳で出家(しゅ…

木魚歳時記 第904話

み仏は慈の父であり悲の母である 慈悲(じひ)についてはなんべんもお話しをしてきました。慈悲(じひ)は、仏教の肝心(かんじん)な教えですから、なんべんも聞いてください。 「み仏(ことけ)は慈(じ)の父であり悲(ひ)の母である」とは、『般舟讃』…

木魚歳時記 第903話

手がうごけば心もうごく おかしいと思いませんか?ふつうなら、心がうごけば、手もうごく・・となると考えませんか? なぜなら、自分の心が納得(なっとく)して、はじめて自分の体が動くからです。 上記のことば、すなわち「手がうごけば心もうごく」とは、…

木魚歳時記 第902話

言葉は心の使い 心地よいことばが、その人のためになるのでしょうか? 自分に都合(つごう)のいいことばが、自分のためになるのでしょうか? その人、その時にかなったことばを率直(そっちょく)にいってくれる人があり、その人、その時にかなったことばを…

木魚歳時記 第901話

念には念をいれる 念には念をいれて、ということばがあります。準備万端(ばんたん)おこたらず事(こと)に臨(のぞ)むことを指します。 仏教(浄土系の仏教)では、もっぱら「念仏」(ねんぶつ)を大切にします。「念仏」(ねんぶつ)とは、仏(ほとけ)…

魚歳時記 第900話

誠をつくす 釈迦族の王となるはずであった、釈迦(しゃか)が出家(しゅっけ)したので、釈迦の<いとこ>で、釈迦族の王となったマハーナーマは、釈迦の教えを信じ、釈迦の教えに誠(まこと)をつくした王であったそうです。 釈迦族は、隣国のコーサラ国か…

魚歳時記 第899話

渇きのない心 釈迦(しゃか)の教え、すなわち、仏教とは何でしょうか? それは「渇(かわ)きのない心」を持つことです。では「渇(かわ)きのない心」とは、どのような心のことでしょうか? それは、素直(すなお)な気持ちで「施(ほど)こし」のできる心…