2013-12-25から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第621話

「大乗」(だいじょう)の原語は、サンスクリット語のマハー・ヤーナ、つまり「大きな(マハー)乗り物(ヤーナ)」という意味であります。 「苦しいことが多いのは 自分に甘えがあるからだ」(石川洋) 釈迦滅後、自身の解脱を目的とする、エリート集団にあ…

木魚歳時記 第620話

恥ずかしい話ですが、ぼくは、最近まで「多少の縁」だと思い込んでいました。なんでも、思い込みの強いのが、ぼくなんです。 「辛いことが多いのは 感謝をしらないからだ」(石川洋) 「袖振り合うも<たしょう>の縁」とは、辞書などによれば「多生の縁」と…

木魚歳時記 第619話

日本の仏像は、初めクスノキの材質が用いられ、天平時代にはヒノキ材が用いられて、その後の木彫仏の中心となったようです。 仏像は、信仰の対象として、また、秀でた仏師の巧みな技による文化財として大切に保存されてきました。こうした、仏像の数々を生み…

木魚歳時記 第618話

仏像の材質・技法も、時代、国、地域によって異なりますが、その大部分は、石造、金造、木造、乾漆造の四種類となります。 ガンダーラ、インド、中国、朝鮮などは、総じて石仏が主流を占めるのに反して、日本では木像が圧倒的に多く、ついで、乾漆仏となりま…

木魚歳時記 第617話

仏像の風貌は、インドのガンダーラ仏に始まり、マトゥーラ仏と変遷し、グプタ王朝(4-5世紀)に理想化され均整のとれた形として頂点をきわめた・・といわれています。 日本に、仏教と仏像が招請されたのは6世紀の前半ですが、飛鳥・白鳳時代は、中国の北…

木魚歳時記 第616話

仏像といえば、広義には<仏画>も含めていう場合もあるようですが、一般的には<仏像彫刻>を指して仏像と呼びます。 仏像の姿勢は、立像と坐像に大別されます。特殊な形としては、「涅槃」(ねはん)に入った釈迦をあらわす<寝釈迦>つまり仰臥像もありま…

木魚歳時記 第615話

このように、仏像といえば最初は、ガンダーラ美術の「仏伝図中の一登場人物」として釈迦像が登場します。これが礼拝の対象にふさわしい正面向きの立像や坐像に発展してゆくのです。 仏像といえば、最初は釈迦像でした。ところが「大乗仏教」(だいじょうぶっ…

木魚歳時記 第614話

仏像が造られ、伝えられ、信奉されてきた・・その在り方については、時代や地域により大きな相違があります。しかし、共通していえることは、もし「仏像の存在」がなければ・・現在、日本に存在する仏教の在り方も大きく変わっていた可能性があります。 仏像…

木魚歳時記 第613話

経典は、長い年月をかけ、その大部分がインドから中国をへて、日本へと伝えられました。玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)をあげるまでもなく、それは想像を絶する偉大な事業でありました。 そしていま、モンスーン風土の東端に位置する日本において、釈迦の教…

木魚歳時記 第612話

釈尊の死後4,5百年して「大乗仏教」(だいじょうぶっきょう)と呼ばれる<仏教運動>が起こります。 そもそも経典とは釈尊の説法集であります。しかし釈尊はすでに数百年前に亡くなっており、弟子たちが<じか>に説法を聞いたわけではありません。そこで…

木魚歳時記 第611話

あの「孫悟空」(そんごくう)でおなじみの、三蔵法師がインドから持ち帰った仏教経典とは、玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)が『大唐西域記』という書物に著した史実のパロディーともいえます。 インドからタクラマカン砂漠を越えて、中国にもたらされた、北…

木魚歳時記 第610話

釈尊の説法は、釈尊の出生されたマガダ語であったのでしょうか?弟子たちの口伝(くでん)は地方の言語が用いられたのでしょうか?「結集」(けつじゅう)、つまり編集会議ではパーリ語で統一されたようです。 パーリ語により、紀元前2世紀頃までに成立した…

木魚歳時記 第609話

このように、弟子たちの間で口伝(くでん)されてきた釈尊の教えは、結集(けつじゅう)と呼ばれる編集会議を経て、釈尊滅後200年ほどして集大成されます。 釈尊の教説は、①「経」 ②「律」 ③「論」 に集大成されました。「経」(スートラ)は、「如是我聞」…

木魚歳時記 第608話

釈尊は、みずから「経」と呼ばれる書物を書き著されて弟子たちに示されたわけではありません。釈尊の教えが、口伝(くでん)により伝承されて行くうちに、それが分類整理され、約500年という長期をかけて、膨大な「経典群」が成立したのです。 そのなかで…

木魚歳時記 第607話

わしたちが目にすることができる経典とは、お釈迦さまが一代かけて説かれたご説法の内容を文字・記録にまとめたものであります。それが、遠い昔に、インドから、中国を経て日本に伝えられたのです。 経典は、お釈迦さまの時代(いまから約2500年前)の古…

木魚歳時記 第606話

お釈迦さまの教え、つまり「仏教」の足跡をたどるには、お釈迦さまの教えを記した「経典」(きょうてん)をたどるよりほかにありません。ここでは、仏教の経典(お経)について考えてみましょう。 よく、お経はわからないものの代名詞のようにいわれます。そ…

木魚歳時記 第605話

仏教とは、①仏の説かれた教え、②仏になるための教えと述べました。しかしさらに、③仏であることの教え、でもあります。それでは「仏である」こととは?仏のような心をもつことであります。 『観無量壽経』(かんむりょうじゅきょう)の中に「仏心とは大慈悲…

木魚歳時記 第604話

仏性が発芽して、悟りを得た者が仏となるのであれば、これまでに、多くの仏たちが誕生したはずです?事実、仏教では、①過去仏、②現在仏、③未来仏、といった三種類の仏を説きます。 人間釈迦が悟りを得て釈迦牟尼仏(釈尊)となられました。その人間釈迦の教…

木魚歳時記 第603話

仏教では「一切衆生悉有仏性」(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)と説きます。すべての衆生は、本来仏となる可能性をもっている。仏となる種子、「仏性」(ぶっしょう)を宿しているというのです。 仏となる可能性(仏性)が、そのまま発芽すれば問題な…

木魚歳時記 第602話

仏教は、仏の説いた教えであるとともに、仏になるための教え、であるといわれます。前者「仏の説いた教え」については、再三にわたり述べてきました。ここでは、後者、つまり「仏になるための教え」について考えてみましょう。 その前に「仏の説いた教え」の…

木魚歳時記 第601話

一遍上人は「阿弥陀仏が往生する」。と申されたそうです。また、親鸞(しんらん)上人は「信心のさだまるとき、往生もまたさだまるなり」。と申されたそうです。 一遍上人の名号即往生の教えはインテリにとって魅力的な教えとなるかも知れません。また信を往…

木魚歳時記 第600話

「念仏」(ねんぶつ)とは、弥陀(みだ)の名号を口に称えることです。この「称名念仏」(しょうみようねんぶつ)の教えをもつて浄土宗を開かれたのが法然上人であります。 この称名(しょうみょう)の念仏の源は『観無量壽経』でありますが、中国、日本の浄…

木魚歳時記 第599話

念仏とは「心に仏を想うこと」であると述べました。しかし、今日の日本では、念仏といえば、「弥陀」(みだ)の名号を称えすること。すなわち「南無阿弥陀仏」(なむあみだぶつ)と声にだしてお称えすることの意味に理解されています。それはどうしてであり…

木魚歳時記 第598話

修行者(菩薩)が、衆生救済の願いを起され、その願いが成就して「仏」(ぶつ)と成りたまうのです。それが悟りなのです。ですから、悟りを得られた「仏」は複数あることになります。 さて「念仏」(ねんぶつ)とは、悟りを得られた「仏」(ぶつ)を想うこと…

木魚歳時記 第597話

信を起すとは「なにを信じ」「どのように信じるのか」。それは、西方極楽世界におられるアミダ仏の救いを、絶対的な救いであると信じることであります。 アミダ仏の救いとは、わたしたちが<いのち>を終えて、西方極楽世界に「往生」(おうじょう)するとき…

木魚歳時記 第596話

古典の部類に入りますが『文明の生態史観』(梅棹忠夫)に興味あることが書かかれていたのを思い出しました。 生かじりすると誤解を招く恐れもありそうですが、あえてご紹介します。それは宗教と伝染病を類似的に考察したユニークなものです。 ①病原(教え)が…

木魚歳時記 第595話

もう一つ「帰依」(きえ)の語源となるサンスクリット語に、<ナマス>があります。これは「身を屈めて敬意を表する」という意味です。漢訳経典では、この<ナマス>が「南無」(なむ)と音写されました。 アミダ仏に対して「身も心も投げ出して信奉いたしま…

木魚歳時記 第594話

「帰依」(きえ)とは、サンスクリット語の<サラナ>を語源とし「頼りにする」という意味があります。仏教漢訳語<帰依>の意味は「すぐれたものに対して、身も心も投げ出して信奉する」ということであります。 それでは「すぐれたもの」とは何を指すのでし…

木魚歳時記 第593話

それでは、わたしたちに、苦しみや不安が起こって、それでどうにもならないとき「何を信ずれば」いいのでしようか?経典の中にその答えを探ってみましょう。 「我ら拠るべき所なきにあらず、我ら拠るべき所あり。すなわち法こそ我らの処依なり」(『中部経典…

木魚歳時記 第592話

原始経典の一つに「生存を縁として生がある。生を縁として苦しみがある。苦しみを縁として信仰がある」。と述べられています。すなわち、信は苦を縁として起こるものと位置づけられています。 わたしたちには、さなざまな苦、不安があります。それらはなんら…