2013-12-25から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第651話

江戸時代の離婚は夫にのみ権限があったようです。そのとき夫から妻に書いた、離婚理由と再婚許可を求める文書が簡略であったことから、三行半(みくだりはん)と呼ばれたようです。 「時は自然に淘汰してくれる。 やっぱり何といっても いいものしか残らない…

木魚歳時記 第650話

ぼくは定年を迎えてから俳句を始めたので・・俳句の世界では学生です。高いところに梅の実が成っていたので、おかしいと思って聞いてみたら「あれは杏(あんず)ですよ」と教えてもらいました。 「のんきに見える人々も、 心の底をたたいてみると、どこか 悲…

木魚歳時記 第649話

ぼくは<坊主らしき>ことをせずに来ました・・ですから、たいした<結末>は迎えないと覚悟しています。そのとき<いいたいこと>が一つあります。 「どうにもならんことは どうする必用もないこと」(安田理深) 原語(サンスクリット)の意味は、眠りから…

木魚歳時記 第648話

ガラス細工のような神経のぼくは<がき>の頃より変な子として、迷惑をかけていたようです。いまでも<変態爺>の片鱗は充分に残しておりますが・・ 「ぱさぱさに乾いてゆく心を、ひとのせいにするな みずから水をやり怠っておいて」(茨木のり子) 「餓鬼」…

木魚歳時記 第647話

ぼくは、ロマン・いちびり・スケベの三点セットです。なかでも、スケベは灰になるまで治らないと思います。それも、シャイでダンデイーな爺ぃならともかく、チンケな蜜盗人を自認しています。 「求める心はさびしい。 与える心はゆたかだ」(西田天香) 「戒…

木魚歳時記 第646話

ぼくは「まず始めよう五・七・五」という俳句入門講座を受講しています。しかしいまだ俳句のいの字すら理解できていません。大黒さん曰く「あんたあかん視野が狭い」。うっ、このままで終わるのやろか? 「またひとつしくじった。しくじるたびに 目があいて…

木魚歳時記 第645話

「穢土」(えど)とは、もちろん現在では使われないことばです。ぼくは好きでないことばですが、仏教ではさかんに用いますので・・すこし触れてみます。 「人間は一人で歩いてゆくには 少し小さすぎる」(武者小路実篤『幸福者』) 仏・菩薩の国土である浄土…

木魚歳時記 第644話

「立てば芍薬(しゃくやく)坐れば牡丹(ぼたん)」ということばがあります。芍薬の花の豪華さには、はっと息を呑みます。ところで、芍薬も牡丹も散りぎはがものすごい・・ 「風のように歩けそうです」(高村光太郎『人生』) 「会者定離」(えしゃじょうり…

木魚歳時記 第643話

こいつ(写真)を見つけるのに「往生」(おうじよう)しました。以前に牛蛙もどきは見つけたことがありますが・・残念ながら確証がありませんでした。こいつは、まぎれもなく牛蛙です。なぜなら<おはようさん>と鳴いてくれたのです。あの野太い声で・・ 「愛…

木魚歳時記 第642話

いま、ここに座っておれるのは、両親をはじめ、ご先祖さまがおいでになったからです。その意味で、ご先祖さまへのご供養は欠かさないでおきましょう。「供養ということの最大の意義はその人の美しい心をうけつぐことである」(田中慶道) 「永代経」(えいた…

木魚歳時記 第641話

ぼくは小さな寺の六男坊に生まれました。つぎつぎと兄たちが亡くなり・・ぼくが寺を継ぐことになりました。子どもの頃から親父の念仏(ねぶつ)する声を聞いて育ちました。 「人生における無上の幸福は、われわれが 愛されているという確信である」(ゲーテ…

木魚歳時記 第640話

賀茂の祭り・葵祭りに、ぼくは京都で生まれ育ちながら、ゆっくりと見る機会がありませんでした。今年は幸いにその機会に恵まれました。厚巻は、なんといっても、斎王代と牛車(ぎっしゃ)のお練でした。 「なにもかもが失われたときにも 未来だけはまだ残っ…

木魚歳時記 第639話

「有縁・無縁」(うえんむえん)とは、文字どおり「自分とかかわりのある者とそうでない者」の意味です。世の中は、どうかするとこれで動いています。「一人の人には必ず一人だけの立場の あることを信じよう。それを発見しよう」(有島武郎) 仏教でいう有…

木魚歳時記 第638話

異類(いるい)というと、すぐ、室町時代の『百鬼夜行絵巻』などに登場する<おばけ>や妖怪のことを想像してしまいます。仏教でいう異類とはなんでしょうか? 「世の人の心まどはす事、色欲にはしかず。 人の心は愚かなるものかな」(吉田兼好) 古くは仏・…

木魚歳時記 第637話

「一条寺」の地名は多いようです。おそらく周辺にある寺名から来たのでしょう。「一条」(いちじょう)とは、文字どおり「一つの乗り物」の意味です。 「求める心はさびしい 与える心はゆたかだ」(西田天香) 『法華経』(ほけきょう)の中に「十方仏土の唯…

木魚歳時記 第636話

縁起をかつぐとか、縁起が悪いとか・・転用して用いられますが「縁起」(えんぎ)は、仏教の中心的な教えです。 「己を修め体を潔くし心垢を洗除す」(『無量壽経』) 縁起とは、一切のもの(精神的な働きも含む)は、種々の因(原因・直接原因)や縁(条件…

木魚歳時記 第635話

和尚さま、ご回向(えこう)をおねがいします・・回向とは、文字どおり<まわしてふりむける>ことです。この行為は、和尚の重要な役目となります。 「壁に耳石にもの云う世の中に 人知らじとてあしきことすな」(北条時頼) 自己の善行の結果である功徳(く…

木魚歳時記 第634話

ぼくは、寺で生まれ育ち、そして死んでいくでしょう。寺の六男に生まれたぼくが、その寺に住まわせていただくのは、不思議な「縁」(えにし)というほかありません。 「まことに、人間の遭遇ほど、 味なものはない」(折口信夫) 禅の修行僧は、行く雲のよう…

木魚歳時記 第633話

正しくは「烏藍婆拏」(うらんばな)と書くそうです。『盂藍盆経』(うらぼんきょう)という経典にあることばです。いわゆる<お盆行事>のことです。 「施して報を願わず 受けて恩を忘れず」(中根東里) 盂藍盆、すなわち、烏藍婆拏(うらんばな)とは、原…

木魚歳時記 第632話

右遶(うにょう)なんて初めて聞かれた?これは<右にめぐる>という仏教用語です。ちなみに、ぼくの旋毛(つむじ)は左巻きです。しかも二つもあります。 「いだかれてあると知らず おろかにもわれ反抗す大いなる手に」(九条武子) 右遶(うにょう)とはイ…

木魚歳時記 第631話

『うつつゆめもどき』(塚本邦雄)。この本を読んでから、ぼくは<ゆめもどき>のことばを多用します。それはこのことばの魅力にとりつかれたからです。 「かしこく思われる必要なし かしこくあることのみ必用なのだ」(中野重治) 浮世(うきよ)は、漢語の…

木魚歳時記 第630話

おっさん(和尚のことです)33回忌も済んだので・・お位牌(いはい)をお寺に収めたいのですが・・お位牌についてはいろんなご相談を受けます。 「死んだのちに仏になると思うなよ 死なぬ中こそ真の妙法」(白隠禅師) お位牌(いはい)の起源は、①儒教の…

木魚歳時記 第629話

<一句>。このことばに遭遇したとき、ドキッ俳句のことかと思いました。そんな話をしたところ「外に大事なことあるやろが、なに考えてんのあほとちゃう」。大黒さんの一喝をくらいました 「すべての欠点は 長所にむすびついている」(亀井勝一郎) 一句で、…

木魚歳時記 第628話

一味(いちみ)というと、悪事をはたらく者たちの仲間といった感じですが、一味同心のことばがあるように、もとは、一致団結した集団(一揆)の結成・誓約に用いられたようです。 「未練が老醜の はじまりではないだろうか」(中野重治) 仏教では、仏の説法…

木魚歳時記 第627話

「安居」(あんご)とは、インドで、春から夏にかけて3ヵ月ほど続く雨季の期間に、集団生活の僧侶たちは外出をひかえ研修の期間としたようです、 「人に父母あり、 一人もかけば子息等そだちがたし」(日蓮上人) 雨季の期間は、外出に不自由だけでなく、草…

木魚歳時記 第626話

キリスト教のサタンと異なり、仏教では、悪魔は、なじみが薄いようです。修行の邪魔をする<誘惑>が、形を変えて<悪魔>となってあらわれます。 「おとなになりて、 よろず悪き心あるなり」(無住『雑談集』) 宗教では、<悪>および<不義>を擬人的に表…

木魚歳時記 第625話

「閼伽」(あか)は、功徳、功徳水の意味です。転じて「神仏や貴人などに捧げる水」の意味に用いられます。中国・日本では「閼伽水」(あかのみず)と呼ばれることが多いようです。 供養ということの意義は、その人の 美しい心をうけつぐことである(田中慶…

木魚歳時記 第624話

神社や仏寺の門前に置かれている獣形の像が狛犬(こまいぬ)です。異国の犬、すなわち、高麗(こま)の犬と考えられていますが、本来は、聖域を邪悪から守護する<鎮獣>の獅子なのです。 「行きづまりが多いのは 自分が裸になれないからだ」(石川洋) 狛犬…

木魚歳時記 第623話

原語ストゥーパは土や煉瓦(れんが)の堆積を意味します。仏塔の始まりも、釈迦の遺骨を納めた<土饅頭>のような墳墓であったとされます。 「心配することが多いのは 今をけんめいに生きていないからだ」(石川洋) 仏塔は、舎利塔、大塔(精舎)、記念塔、…

木魚歳時記 第622話

「舎利」(しゃり)はサンスクリット語のシャリーラの音訳です。もとは身体を意味する言葉ですが、いつしか釈迦の遺骨、つまり「仏舎利」(ぶっしゃり)を指すようになります。 「悲しいことが多いのは 自分のことしか分からないからだ」(石川洋) 釈迦がク…