2013-12-09から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第24話

タテヨコに 思い出秘めて 絹ハンカチ このハンカチは季語として不合格でしょう。縦糸と横糸の重なり(人生)に、一度や二度は、こんな思い出もあるでしょう。その想い出を秘めて、じっと、引きだしの奥に仕舞う絹ハンカチ・・・嗚呼、アホみたい。 ハンカチ…

木魚歳時記 第23話

打水や そっ啄同時に 蝉の発つ 「そっ」とは、「口」辺に「卒」の字ですが、HTMLでは転換できないようです(ぼくが下手なのでしょうか?)。そういう、けったいな字は「そっ」としておきます。朝、茂みに向けて打ち水したところ、孵ったばかりの蝉が・・・「…

木魚歳時記 第22話

草茂る 上る下りや 男坂 知恩院さんの、国宝となった三門、すなわち三解脱門(さんげだつもん)をくぐりぬけると、胸を突くように男坂が迫ります。その右横には‘なだらか’な女坂もあります。ぼくは、もちろん「女坂」を登ります。そのほうが心地よいからです…

木魚歳時記 第21話

鶯の 知恩と啼いて 華頂山 知恩院さんは、浄土宗の総本山です。ぼくは中坊主のとき、知恩院さんに勤めていました。宿直の晩には堂内を巡回します。真っ暗な「うぐいす張り」廊下を歩くと、‘きゅっきゅ’と啼いたのを覚えています。いまの大黒さんとも、知恩院…

木魚歳時記 第20話

鳩のでる ハンカチ探し クジ包む このハンカチでは、俳句の季語とはならない? クジも、サマージャンボ、年末ジャンボ、と、ならないと季節感がないからです。「季語に語らせる」そんな微妙なことぼくにはわかりません。 ところで、マジシャンのハンカチから…

木魚歳時記 第19話

蓮舟で 彼岸に渡る 心地して 子どもの頃、おやじ(師僧)が、朝早くからカンカンやる伏せ鉦(がね)の音を聞きながら、また、心地よい眠りに落ちた記憶が蘇ってきます。 浄土宗を開かれた、法然上人のお歌に「月影のいたらぬ里はなけれども、ながむる人の心…

木魚歳時記 第18話

撮り忘れ 後の祭りや 鷺の舞 知恩院さんの帰り、円山をぬけて、八坂神社までくると、なにやら騒がしい、どうやら祭のようです。かって、祇園の山鉾巡行(7月17日)から、一週間後にあった「後の祭り」は、昭和41年より花傘巡行として、やはり、24日に…

木魚歳時記 第17話

噴水を これ飲めますと 巨人国 巨人国では、噴水に「この水飲めます」と張り紙があるとか?それを‘うまそうに飲む巨人国の大男たち・・・どこかのパロデイー?寓話の物語だったでしょうか? ところで「喉の渇いた牛を、水飲み場に連れていくことはできたとし…

木魚歳時記 第16話

やわらかき 蚋(ぶゆ)迷走の 青夜かな 蚋(ぶゆ)とは、もちろん、ぼく自身のことです。まだ脱皮して間もない‘ぶよぶよ’した‘ぶよ’が、よわよわしく低空飛行するのを見ると、このまま「子供大人」で終始しそうな、ぼく自身の人生と、オ-バーラップするので…

木魚歳時記 第15話

足跡の 描いて消しての 水馬かな にわか雨が・・・と水面を見ると、‘あめんぼう’の群れが、知ってか知らずか、足跡(波紋)を描いて消していました。その‘こだわり’の無さには感心します。 お釈迦さまは「自灯明」(じとうみょう)と説かれました。「大河の…

木魚歳時記 第14話

噴水の 抜苦与楽と ふりかかる 公園などで、噴水に出会うと、それだけでほっとします。ましてや、シャワーが風に流され、それが、汗のにじんだ体にかかると爽快です。 「逃げたらあかん」 これは、ぼく自身への、自戒の言葉です。苦しくなったら逃げそうにな…

木魚歳時記 第13話

懐かしや 甘露甘露と ラムネ飲む ラムネがよく登場します。でも、俳句教室(カルチャー)の宿題(句題)ですから辛抱してください。そうです、ズブの素人が句会に出るなんて「あまりにあつかましい」。そこで、カルチャーに通うことにしました。 「甘露」と…

木魚歳時記 第12話

人なりに 舐め方のあって 氷菓子 カチンコチンに凍ったアイスキャンデーを、バリバリ音たて食うのが大黒さんです。ぼくは、ペチャペチャ舐めます(スケベ)。見よ、この黒々と牙むくメスイノシシの雄姿(40年後の彼女)を。この大黒さんの「常夜灯の護られ…

木魚歳時記 第11話

お初かな 風の息止む 青簾 やさしく吹き抜けていく風も、なんだか今日はぎこちない。新品の青簾に戸惑ったのでしょうか、ぼくが、大黒さんの家をたずね「嫁さんに貰うことにします」(そうは言えなんだ)と、父君に談判したのは四十年近くも前のことです。彼…

木魚歳時記 第10話

句会とは 苦界のことかと 木魚泣く 薬研(やげん)温泉に着いて、夕ごはんが終わると九時でした。それから十一時半まで、「句会」の洗礼を受けました。なにがなんやら・・・喉はカラカラ、ヒイヒイ、ぜいぜい。 「あんた初めて?」と声をかけられ、すかさず…

木魚歳時記 第9話

わた雲を ベレーにしてる 五月富士 このあたりで、「木魚のページ」の解説をします。「十二支シリ-ズ」とありますが「エト」に触れてない? そうです、台湾旅行の人に貰った土産をデジカメで撮って、「カット」に使用しただけです。 「俳句らしき」ものは?…

木魚歳時記 第8話

大滝の 天湖裂くごと 轟々と 大滝の轟々と落下する圧倒的な迫力に接すると、まるで、天湖の底が抜けたのではないか?と錯覚します。いつたい誰が…、こんなドラマチック・エモーショナル(感動の世界)を演出したのか? 「天から降ってきた一粒の水滴が、無数…

木魚歳時記 第7話

通り雨 波紋屋を継ぐ あめんぼう 雨は、やんだはずなのに。池の面を見ると、水馬(あめんぼう)が、波紋を描くのを見ました。浮かんで消える波紋を見ると、「まだ雨が?」と、おもわず錯覚します。小笠原秀實先生は「足跡の残らば残れ足跡の、消えなば消えね…

木魚歳時記 第6話

蓮舟や 摂取不捨で 彼岸へと いずれ「その時」がくれば、蓮の舟に乗りお浄土へ・・・お経の中には、「アミダ仏の救いの光は、すべてのものに平等にそそぎ、念仏する衆生も、念仏ができない衆生も、すべて、摂取(せっしゅ)して捨て給わず」とあります。 月…

木魚歳時記 第5話

着信を 逃しせつない 青夜かな おそらくマナーモードにしていたのでしょうか?着信に気付かず・・・あとはすべて「後の祭り」。寝苦しい初夏の夜が過ぎてゆきます。 このように「あの時こうして折れば…」と、グチってみても時は戻りません。このように、「望…

木魚歳時記 第4話

睡蓮の 菩薩衆生と 咲き分けて 「泥中蓮華」とはよくいったものです。睡蓮(すいれん)の花が、蕊(ずい)まで匂うように、真っ白に咲くのを見ると、泥中からとても・・・と、そんなふうに感じます。 真っ白な睡蓮の花も、池面に浮かぶ睡蓮の葉も、おなじ泥…

木魚歳時記 第3話

中年や ラムネと懸けて 女房と解く ラムネ瓶を見ると、ゲップ、いえ「空気」を連想します。見えないが大切な「空気」のことです。吸う息も吐く息も、これほど大切なものはありません。でも、日ごろは忘れています。「ラムネと懸けて女房と解く」「その心は、…

木魚歳時記 第2話

蓮台に 綿毛残して 羽抜鳥 知恩院の七不思議(重宝)の一つに「抜け雀」があります。雀は、あまりにリアルに描かれていたので抜け飛んでしまった。嘘か本当か、それは、抜けてしまった今となってはわかりません。 ご本尊(アミダ如来)が鎮座される「連台」…

木魚歳時記 第1話

陽炎や デゴイチ吼えて めらと燃え 一世風靡したデゴイチ機関車も、博古館のある公園で、嬢ちゃん坊ちゃんが乗る観覧車を引く毎日です。「汽笛一声」出発するデゴイチ機関車のまわりに陽炎(かげろう)が燃えていました。句の「めらと燃え」が、デゴイチ機関…