木魚歳時記

画像・文章の転載はご遠慮下さい

木魚歳時記 第3522話

また街路樹にそよ風がわたるとその宝石の葉がざわざわ触れ合って種々な音色を合せかなでて、この合奏楽を聞く者は正しく生きる力の喜びを得られる。(佐藤春夫『極楽から来た』)225 尺蠖のねじれ漫歩やDNA 尺蠖(しゃくとり) 「ボクの細道]好きな俳句…

木魚歳時記 第3521話

これらの鳥は前世の罪によって畜生に生まれ変わったのではない。もともとこの国には罪悪などというものは無いからその報いとてあろう道理もない。ただアミダブツがこの国の人々に正しい心を得させる手だてとして歌を愛する者を神通力(じんつうりき)によっ…

木魚歳時記 第3520話

その声は人に生きる力や善美を愛する念を起させる。それ故、この国の人々は、その声を聞いて国土の愛すべく法の尊ぶべく、人々の和すべしを自然に悟るのである。(佐藤春夫『極楽から来た』)223 本尊は秘仏におはす蝮酒 「ボクの細道]好きな俳句(1271) …

木魚歳時記 第3519話

「この国には白鵠(びゃっこう)とかくじゃく、おうむ、舎利(しゃり)、カリョビンガ、共命鳥(ぐみょうちょう)などという奇妙に色の変わった鳥が多く住んでいて、それが日中三度、夜中三度、やさしくあもしろい声で歌う。(佐藤春夫『極楽から来た』)222…

木魚歳時記 第3518話

極楽はこんな文化国なのである。もっとも他心智などはここでは無用の長物として人々の笑い草にしかすぎなかった。というのはここではウソをいう必要もなく何ら他にかくさなければならない秘密もなかったからである。ただ他の国に行った時にだけその重宝なこ…

木魚歳時記 第3517話

この国ではまた天耳通(てんじつう)と呼ばれるラジオがあり、また天眼通(てんげんつう)と呼ばれたテレビもあり、別に他心智(たしんち)というウソ発見機以上のものも各自にそなえていた。(佐藤春夫『極楽から来た』)220 定食にたどりつきたる金魚かな …

木魚歳時記 第3516話

この人々が朝食ともいえない朝食前に、十万億の仏国の諸仏を供養してすみやかに帰ってくる大仕事をできるというのも、彼らは個々に飛行能力を持っていた。それは神足(じんそく)という最も精巧なヘリコプターにもまさるものであった。(佐藤春夫『極楽から…

木魚歳時記 第3515話

というのは、この世界では空気や水のなかにすべての栄養素があるから、特別に飲食の用意をする必要もなかったのである。こうしてこの国の人々の一日が楽しい朝の散歩をかねた朝食ではじまるのである。(佐藤春夫『極楽から来た』)218 炎天を裏から剥す悉皆…

木魚歳時記 第3514話

極楽の人々は、朝早くから、花を盛る器を持ち出し、それを満地の曼荼羅華を採り持って、アミダ仏を初め十万億といわれる他の世界の諸仏たちに供養をささげたのち、すみやかに極楽浄土に帰って来て、七宝樹林の並木のなかを散歩して朝食をとる」(佐藤春夫『…

木魚歳時記 第3513話

「このアミダブツの極楽国(ごくらくこく)は天然の微妙な音楽が絶えずながれひびき、大地は黄金延べ(別に大地を瑠璃と説くのもあるが、これはこの国の半ばを占めた、水を大地と見てのことで別にむじゅんはない)ここでは一日に夜明け、日中、日のくれ、宵…

木魚歳時記 第3512話

どちらにせよ住宅はすべて国営だし、貨幣制度のないこの国では家賃などというものもない。住宅難の結果はぶた小屋のようなうら長屋にも月々大金を払うことを思えば、これだけでも、極楽はたしかに楽しい国に相違ない。(佐藤春夫『極楽から来た』)215 うし…

木魚歳時記 第3511話

(三)貴賤の別もなく、資料に余りのあるこの国では、家々は建築家の楽しみ仕事としてみな王宮なみの金殿玉楼造りが多かったが、なかには建築家の好みでごく質素なものもあり、それはまたそれで美しかったから、好んでそれに住む趣味の人もいた。(佐藤春夫…

木魚歳時記 第3510話

家々には看板などというものは一つもないらしい。ここではインチキなものを売って金をもうける必要などないためであろう。極楽はそういう真善美の世界で、仏教のユートピアなのである。(佐藤春夫『極楽から来た』)213 銀蠅の腐りつゝある食品庫 「ボクの細…

木魚歳時記 第3509話

池に臨んで水面にさし出た楼閣がある。池の中には車輪大の蓮の花が咲いて青、黄、赤、白とそれぞれの色に光照りそい、目もあやに香気はほのかにすばらしい。この花というのはただの花でではなく、仏教の(すなわち真理の)端厳、荘厳を象徴して咲き出したも…

木魚歳時記 第3508話

そうして、家々には七宝の池があって、なかは清らかにすがすがしく澄み、ひんやりと甘美で静かにとろんであふれ狂うこともなく目を楽しませる水がなみなみとたたえられて、底には沙金が布(し)かれ、四方には金銀瑠璃玻璃(こんごんるりはり)をまぜ合わせ…

木魚歳時記 第3507話

浄土はどうも水国のようである。それ故に岸を七重の欄干や防波堤などで築きかためて水を護り、また岸や運河沿いの街路樹は完全によく育って、そのゆたかな茂みは日を浴びて宝石のようにかがやいている。(佐藤春夫『極楽から来た』)210 ぱらぱらと蟻こぼれ…

木魚歳時記 第3506話

それが金銀瑠璃玻璃(こんごんるりはり)でできたように美しくかがやいて、都市一帯の宮殿や宝池(ほうち)を取り巻いている。極楽はこのように清潔で美しいところである」(佐藤春夫『極楽から来た』)209 八月を蹴り上げてゐる赤ん坊 「ボクの細道]好きな…

木魚歳時記 第3505話

「極楽世界は七重の欄干(らんかん)を取りめぐらし、また、根、茎、枝、小枝、葉、花、実をそろえた木々が整然と立ち並んで七重に空におおいかぶさり、(佐藤春夫『極楽から来た』)208 炎昼の京人形やのつぺらぼう 「ボクの細道]好きな俳句(1256) 田川…

木魚歳時記 第3504話

それ故、人々はこの事を思い違いして極楽というのを死後の世界のことのように思っているらしいが、これは大ちがい、極楽世界は現世における生き方の問題で、とぎすまされた感覚と濁りのない智恵の喜びに生きるということであるらしい。こう思ってみると、極…

木魚歳時記 第3503話

話があまりウマすぎるのでこれはまゆツバモノであると首をかしげる人も多かろうが、この浄土の楽しみというのは、人間世俗の楽しみとは全く本質的に事かわって、世俗の享楽を全く忘れ果て、初めて享受できる次元の違ったものなのかも知れない。(佐藤春夫『…

木魚歳時記 第3502話

「この国土を何故に極楽というか。この国の衆生の生活には何らの苦労もあることなく、ただあらゆる楽しみだけを受けている。それ故に極楽と名づけたのである」(佐藤春夫『極楽から来た』)205 雷鳴や東寺秘伝の風信帖 「ボクの細道]好きな俳句(1253) 田…

木魚歳時記 第3501話

すなわち、遠い未来をという意味に解釈していいのかも知れない。将来の理想国ではなく現在に実在する観念的国土であるという書き方のようでもある。それはともかく、(佐藤春夫『極楽から来た』)204 霾ぐもる羅城門址四ッ塚町 「ボクの細道]好きな俳句(12…

木魚歳時記 第3500話

と、こう書き出したこの『阿弥陀経』(あみだきょう)というのはすべて象徴的な説き方であるが、ここに「西方十万億の仏国土を過ぎて、とある西方というのも空間的な方向を指すものか、それとも日の落ちる方向を指して時間的な距離、(佐藤春夫『極楽から来…

木魚歳時記 第3499話

「これより西方十万億(さいほうじゅうまんのく)の仏国土(ぶっこくど)を過ぎて、一つの仏の世界がある。その国を極楽世界といい、ここに居られる仏を阿弥陀仏(あみだぶつ)と申して、今日も現にこの浄土に居られて真理を宣伝していらっしゃる」(佐藤春…

木魚歳時記 第3498話

(二)ある時、シャカムニ仏がコウサラ国にある舎衛城(しゃえいじょう)祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)で、千二百五十人の仏弟子たちの集まっているところで、その代表者シャリホツに呼びかけて、次のような事どもを説かれたという。(佐藤春夫『極楽から来…

木魚歳時記 第3497話

「仏教の修行ができ上がると、このいやなことばかりの娑婆(しゃば)、穢土(えど)までも極楽のように思えて来ることなのである。わしも早くそうなりたいものだ」(佐藤春夫『極楽から来た』)200 大海に入るや雀の小蛤 「ボクの細道]好きな俳句(1248) …

木魚歳時記 第3496話

「極楽をこういろいろな言葉で申すほか別に『じゃっこうど』というのがある。寂光土、さびしいひかりののつちと書くが、決してさびしいのではない。しずかに落ちついた真理の光がものみなを照らしている静かに楽しい国という意味なのだ」 (佐藤春夫『極楽か…

木魚歳時記 第3495話

「ただ聞きかじり読みかじったところでは、極楽のことを安養土(あんにょうど)とか安楽国(あんらくこく)とかいうのは心安らかに生きられる国というのであろう。」(佐藤春夫『極楽から来た』)197 涅槃図に五十六種とあと一匹 「ボクの細道]好きな俳句(…

木魚歳時記 第3494話

「それ故、それを有りと認めるにも少々の修行しなければならないのかも知れない。それが今もいういうとおり、わしはまだ修行が足りないので極楽浄土もまだはっきりとは見えないでいる。」(佐藤春夫『極楽から来た』)196 側溝をころげまはりて鳥交む 「ボク…

木魚歳時記 第3493話

「それで先ず極楽を有りと思おう。極楽は報身報土(ほうしんほうど)と申して、三世の諸仏がそれぞれの修行の結果でその報いにできあがった真理の国土なのだ。」(佐藤春夫『極楽から来た』)195 三椏の花咲き人体解剖図 「ボクの細道]好きな俳句(1243) …