木魚歳時記第4088話

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 彼はその結論なら少しも疑わない。ただ直覚でこれを得たという点をやや危ぶむ。しかし弥陀の大慈悲も極楽も十分に信じている。疑うこころはわが智力、否(いな)すべての人間の智力、それを無限に信頼する人間の性情にある。
(佐藤春夫『極楽から来た』)755

       ダイヤモンドダスト陰を繕ふ掛接屋

 「ボクの細道]好きな俳句(1834) 稲畑汀子さん。「苗代寒さそへる雨となりにけり」(汀子) 稲田の準備にかかる頃に訪れる寒さでしょうか? 最近は四季がありません。冬から夏へと大気の温度ががストレートに変化するようです! 衣類の調整に苦労します! とりわけ高齢者としては(汗)。

  のせられ、わがこころ、かゑりみよ。
  あら(あゝ)とをとさと、(*尊さ)
  なむあみだぶの、こころたのしむ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)

 

木魚歳時記第4087話

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  第十七章 見果てぬ聖夢
(一)法然は日々礼讃(らいさん)をつづけ、法華三昧は既に成じて、今は五相成身観(ごそうじょうしんかん・現身のまま現世で大日如来になるという観法を修行しつつも、欲は口称念仏(くしょうねんぶつ)の行が他にすぐれていることを自分に証明しようと、この年ごろあせっていた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)754

      とつぜんに蟒草の眠くなり  蟒草(うわばみそう)  

 「ボクの細道]好きな俳句(1833) 稲畑汀子さん。「花の道つづく限りをゆくことに」(汀子) そうです。先の事はお互いにわかりません。ならば、(幸せを感じつつ)さくら吹雪の舞う道を、ただひたすら進もうではありませんか。西方極楽浄土(彼岸)に到達することを念じつつ。

  のせられて、わがみながらも、
  をもうはづかし、
  なむあみだぶに、こころみられて。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)
 

 

木魚歳時記第4086話

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 この慈悲に浴した歓喜と感謝とを、先ず十方の衆生に味あわせたい。我々すべては力及ばぬ難行苦行を積まずとも、この慈悲にすがりさえすれば最上の仏国に生きられるのだ。
この感謝と歓喜との基礎上に、凡夫(ぼんぷ)の我々すべてが最上最美の仏国に生まれる法門が開かれねばならない。
(佐藤春夫『極楽から来た』)753

       宇宙人ヤマダミノルや寒卵 

 「ボクの細道]好きな俳句(1832) 稲畑汀子さん。「空といふ自由鶴舞ひやまざるは」(汀子) 「空」(くう)ではない、「空」(そら)でありましょう。大空という「自由」があります。空に鶴が悠然と舞い、地上では「鶴の舞」を演じるのです。この大自然を壊してはなりません。

  わたしや、あなたの、こころをいただき、
  なむあみだぶつと、もをすこころを。
   『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)

 

木魚歳時記第4085話

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  「世にも稀有(けう)な最大級の罪の罪のほかはわが名を呼ぶ限りこれを赦(ゆる)してわが最善最美の国の住民たらしめたい。わがこの願望がかなわない程ならば、覚者(仏)などにはなりたくもない」というこの広大無辺の慈悲を感じ取った喜びはまことに神来のもののようであった。法然は天を仰いで深い呼吸をした。
(佐藤春夫『極楽から来た』)752 

       角番が角番と遇ふ初相撲

 「ボクの細道]好きな俳句(1831) 稲畑汀子さん。「看取りより解かれし冬を淋しめり」(汀子) ご主人の看護と看取りのことでしょうか? ボクも相棒に介護してもらい看取られて逝くことに決めています(笑)。しかし「お互い、いつ、何が起こるかわかりませんから」これが相棒の口グセですから、あぶない(汗)。

  のせられて、のりゑた、こころ
  とをとさ(尊さ)と、よろこばれるわ、
  なむあみだぶつ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)

 

木魚歳時記第4084話 

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 という阿弥陀仏四十八願の文が遠雷のように心にとどろいて出た。かねがね暗誦している文句がすぐに思い出されるのに不思議はないが、それと同時に法然は、さながら電光に打たれでもしたように、いつもとは全く違った感謝の念に打たれた。さながらに、阿弥陀仏の無量光をわが皮膚の上にじかに浴びたかのような実感であった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)751

       狐火をトングでつかむ大僧正 

 「ボクの細道]好きな俳句(1830) 稲畑汀子さん。「書初の筆の力の余りけり」(汀子) 作者ご自身の体験でしょうか? それとも、お孫さんの書初(かきぞめ)を横で見ての作品でしょうか? ボクは、前者、つまり、作者ご自身の体験だと思います。それは「筆の力の余りけり」を作者の動作(比喩)と読んでこそ、いろんなことが想像できて面白いのです。

  のせられて、のりゑ(得)させ、
  こころ、われとしらずに、
  なむあみだぶにしられたらこそ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)

 

木魚歳時記第4083話 

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「ああ極楽の大地のような」
 と、ひとり言した瞬間、
  モシワレ仏ヲ得タランニ十方(じっぽうの)ノ衆生至心(真実心をこめて)ニ信楽(しんぎょう)シテ我ガ国ニ生(しょう)ゼント欲シテ乃至十年(十声の念仏称名)センニ、モシ生ゼズンバ正覚(しょうがく)ヲ取ラジ、唯(ただ)、五逆(ごぎゃく)ト正法(しょうぼう)トヲ誹謗(ひぼう)スルヲ除ク
(佐藤春夫『極楽から来た』)750

       牛日の九時まで寝たり某氏S  牛日(ぎゅうじつ)    

 「ボクの細道]好きな俳句(1829) 稲畑汀子さん。「昼寝するつもりがケーキ焼くことに」(汀子) こんなことありそうです。女性はどうかすると、こうした想定外の行動をされることがあるようです(汗)。女性脳と男性脳回路の違いを理解しておかないと、いろんなことが起こります(笑)。2020年、爺さん婆さんにも何が起こるやら??

  よろこぼをや、このみのり、
  なむあみだぶのみのり、
  よろこぼを。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)

 

木魚歳時記第4082話 

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 水のせせらぎが耳に快く目ざめた一日、法然はいつもの道を変えて北に向い、横川中堂から大宮の流れにそうて日吉大社から坂本を目指した。いつもより一時間あまり早く起きたので、美しく晴れ渡った空に誘われて、遠行を企てたのであった。
 途中、何ごころなく見おろした湖が晴朗の天を、光り澄み通り青み映して限りなく美しいのを見て、彼は思わず、
(佐藤春夫『極楽から来た』)749

       羊日の九時半ごろにもう寝てる  羊日(ようじつ)   

 「ボクの細道]好きな俳句(1828) 稲畑汀子さん。「見られゐて種出しにくき西瓜かな」(汀子) 口に含んだ種をプッとやれずに困っている様子が浮かんできます。何気ない日常の仕草を詠った作品はいいですね。俳句はこのように楽しく読めなくては・・と思いまうが、ボクは頭が柔軟ではありません。易しいことまで難しくしてしまいます(汗)。

  あさましや、
  わしのこころわ、
  せかいのごとく、
  それをつつんでくださるをじひ、
  ごをんうれしや、なむあみだぶつ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)