木魚歳時記 第3697話 

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 当時は常に召されていた左大臣藤原頼長の命によって『唯識比量抄』二巻を執筆中だと得意であった。法然はこれほどの学匠が、なおこんな名聞を誇るのかと思いながらも、叡山で学んでいた場違いの法相宗の疑義をただし、つづいて法相の教学そのものに対する率直な見解を開陳した。
(佐藤春夫『極楽から来た』)394

       北側の屋根に残りし黒い雪

 「ボクの細道]好きな俳句(1448) 矢島渚男さん。「数へ日のこころのはしを人通る」(渚男) 「数へ日」年末の大晦日を数え待つ気持ちの季語です。「こころのはし」とは、年末を指折り数えて待つその人の「心の端」でしょうか? さて、バクについて。バクは、アメリカおよび東南アジアに生息するようです。トラなど天敵から身を守るため、水中でうんこをする習性があるそうです。さしずめ、油断大敵というところでしょうか? 別に、獏(ばく)は、中国から日本へ伝わった伝説にも登場します。その獏は「人の悪い夢を喰ってくれる」とあります。S氏が、たまに見てうなされる怖い夢を食って(起こして)くれる相棒のような存在です(笑) 

 

木魚歳時記 第3696話 

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 南都に入った法然は、先ず第一に因明(いんみょう)(物事の正邪真偽を考察論証する一種の論理学)の大成者として名高い蔵俊(ぞうしゅん)を訪うた。
 蔵俊は安元(あんげん)二年(一一七六)権律師(ごんりっし)に任じられ、三年後には権少都(ごんしょうず)で興福寺別当になり、その翌年七十七歳で寂した学僧であるが、法然の会ったときは五十三歳で、
(佐藤春夫『極楽から来た』)393

        綿虫のふはりふはりと雲母坂  雲母坂(きららざか)

 「ボクの細道]好きな俳句(1447) 矢島渚男さん「涼風をいひ秋風をいふ頃ぞ」(渚男) 「涼風」(すずかぜ)が主季語? 夏の暑さから解放され、秋のさわやかさにうつろうとする頃の季感をとらえて巧みです。さて、マグロは眠るときも泳ぎつづけます。多くの魚はエラ呼吸ですが、マグロはクチから水中の酸素を取り込むそうです。しかも、遠海魚で相当のスピードで泳ぐため酸素の消費量も多く、泳ぐのを休むと酸欠になるそうです。ボクたちの時代も、戦後の動乱を経て、例えば、三種の神器(テレビ・冷蔵庫・洗濯機)のゲットをめざし、ただひたすらがむしゃらに働きつづけてきました(汗)。

 

木魚歳時記 第3695話 

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 山野には藤つつじがもう終わって、林の梢(こずえ)には、栗の花、林下には百合の花が咲き出しているなかを、若い出家は墨染衣を青嵐に吹かれひるがえして、大きな黒揚羽か何かのように行くのであった。目ざす奈良には古き仏たち、すぐれた学匠もあり、法蔵(図書)などももゆたかに、叡山の教学に対抗するに足る学府である。若い学侶の追う夢は花を追う蝶のものに劣らず楽しい。
(佐藤春夫『極楽から来た』)392

        老僧は歳にも負けず寒さにも

 「ボクの細道]好きな俳句(1446) 今井 聖さん。「出会ひの握力別れの握力秋始まる」(聖) ふむ。柔道・レスリング・剣道の全国大会? 仏教では、こうした出会いを「具会一処」(ぐえいっしょ)と説きます。さて、ナマケモノは、南アメリカ、中央アメリカの熱帯林に生息するようです。一生のほとんどを樹にぶら下がって過ごすようです。食事や睡眠から交尾、出産までも樹にぶら下がったままで行うそうです。名の由来(「怠け者」)はこようなところから? S氏も、最近、ナマケモノです。相棒にぶら下がって暮らしています(笑)。

 

木魚歳時記 第3694話 

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 そのころから『往生要集』によって往生に注目しはじめていた彼は、空也(くうや)、恵心(えしん)、良忍(りょうにん)などの平安の仏教のほかに、南都には行基(ぎょうき)その他の平安とは別系統の一派のあるのを知って、折あらば、それついても学びたいと考えていた。
 これら積もり重なっていた念々が夢になったのであろう。そうして山を下って市に出たついでにもう一歩踏み出したのである。
(佐藤春夫『極楽から来た』)391

        僧の子の恐る恐るに嫁叩き  

 「ボクの細道]好きな俳句(1445) 今井 聖さん「春風やダックアウトの千羽鶴」(聖) 草野球では勝敗は水ものでしょう。それにしてもダックアウトに千羽鶴を飾るとは! さて、ミノムシ(蓑虫)のメスは、卵から幼虫、成虫になっても蓑(みの)から外に出ることはないそうです。交尾、産卵をすませ幼虫がふ化するころに蓑から地面に落ちて一生を終えるそうです。ボクが幼少の頃、母親が「出るに出られぬ籠の鳥」の唱歌をくちずさんでいたことをふと思い出します。なんだか身につまされる思いがいたします。

 

木魚歳時記 第3693話 

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 わけても叡山よりは一時代古く、徐災致福(じょうさいちふく)、広学多門(こうがくたもん)、戒律堅固(かいりつけんご)をモットーとする南都の仏教は、素朴で生活に即したものであっただけに、その退廃前にはきっと学ぶべきものがありそうに思っていたものである。
(佐藤春夫『極楽から来た』)390

        老僧の大くさめする夕読経

 「ボクの細道]好きな俳句(1444) 今井 聖さん。「トースターの熱線茫と霜の朝」(聖) トースターの熱線がぼやけるとは? まあ、霜(しも)の朝のことですから、熱線が茫(ぼう)と霞むのも詩情の一遍と読みましょう。 さて、ハナカマキリの話です。熱帯のラン科の花に潜む花蟷螂(かまきり)は、白いランの花に似せて、獲物(昆虫)が接近するまで擬態で待ちます。その時が至れば、釜をかざして獲物を捕食します。その瞬間の動画を見ましたが・・感動の一瞬でした。

 

木魚歳時記 第3692話 

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(四)叡山で天台の大要はほぼ知ったが、自分の機根には不似合いなような気がしていた法然は、もっと広く諸宗のことを知りたい、もしかすると自分の所信を裏書きする経文もあるかも知れないとかねがね思っていた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)389

        裸木のごとんごとんと鳴りました

 「ボクの細道]好きな俳句(1443) 今井 聖さん。「顎紐や春の鳥居を仰ぎゐる」(聖) ボクも、時々、高野川の大橋を渡る時、帽子を風に飛ばされそうになります。そんな時、帽子に顎紐(あごひも)があればと思うことがあります。さて、一世風靡(いっせいふうび)した、あのエリマキトカゲは、敵に遭遇すると、威嚇のため、顎(あご)ではなく「エリ」(襟)を広げ、体躯を大きく見せる習性があります。しかし威嚇の効果がないと知ると、すたこらさっさエリをひろげたまま逃げ出します。その恰好が可愛くて一世風靡しました。    

 

木魚歳時記 第3691話 

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 明け方になってやっと一刻ばかり熟睡したさめ際の夢に、母に似た宿坊のおばさん、いやおばさんに似た母が現われて、やさしく、
「南都へ行ってごらん。得業のおじさんのように」といったまま姿を消した。
 目が覚めた法然はこれを霊夢と考え、山に帰る足をそのまま南都に向けた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)388

        真夜中にちろり舌だす大蜆

 「ボクの細道]好きな俳句(1442) 今井 聖さん。「水仙を接写して口尖りゆく」(聖) 水仙にかぎりません。接写(カメラ)するときは、(息を止め)口を尖らせ被写体に向かわないと手ブレするのです。さて、スカンクは「おなら」がくさいほど、メスにもてるそうです。臭いほど種の保存に貢献できるのです。しかし、ブログ筆者の雲谷斎(うんこくさい)真之介は、「栴檀(せんだん)は双葉より匂う」とか、若いころからクサイのですが一向にもてませんでした(笑)。