木魚歳時記 第3456話

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 そうして近い山野の表をすべりかすめて雲の影が通りすぎる。この清明な天地のなかにさえ、時々わが心をかすめる何ものとも知れないないものがあるのを童子は見た。
(佐藤春夫『極楽から来た』)158

      月明に来て仙洞の客となる

 「ボクの細道]好きな俳句(1206) 小川軽舟さん。「日盛や少女消えたる水たまり」(軽舟) ふむ。水たまりに消えましたか! この作者は、作品の主人公(少女)に自身を重ねているのでしょうか? 少女が滝壺に消え白蛇と化す! そんな映画・『白蛇伝』(水上勉)を見た記憶があります。

 

木魚歳時記 第3455話

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 山々のところどころが赤らみまたは黄ばんだ底に銀色にかがやく旭川の川すじや、空色の空よりももっと濃いものをたたえた瀬戸内の海光の一線があざやかに見られた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)157

     仙洞の魚青ざめて旱雲  旱雲(ひでりぐも)

 「ボクの細道]好きな俳句(1205) 小川軽舟さん。「男にも唇ありぬ氷水」(軽舟) さて、「余日」の言葉があります。ボクの「余日」は、ボクの人生の<おまけ>と考えています。これから、いつ、どんな事が起こるか! それはわかりません。しかしそのすべてを含め、それらをありがままに受け入れ、人生(トータル)幸せだった」と、感謝、感謝で終える気持ちでおります。

 

木魚歳時記 第3454話

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 秋ともなるとこの木立ちの下はまた格別によかった。
 菩提樹の手のひらのような葉がひからびてかすかな音を立てて落ち散り、地を走り、いちょうの葉は黄ばみ、
(佐藤春夫『極楽から来た』)156

     片かげり唇ひらきたる骨董店  唇(くち)

 「ボクの細道]好きな俳句(1204) 小川軽舟さん。「葉桜や好きなもの買ひ夕餉とす」(軽舟) 師僧(親父)は、いつも「痛い病気になりたくない!」そういいながら大往生しました。ボクもそうありたいと願っています。持病はたくさんかかえていますが、いまのところ、痛い病気をしたことはありません。仏さまに護られているようです。その時が来たらナムアミダブツと唱えてフッと逝きたい。

木魚歳時記 第3453話

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 朝霧が山なみのすそにひろがる盆地を埋めつくした時、それはさながら海面のようにただよい光り、山なみは島や岬と見誤られて、童子のまだ見も知らぬ海というものに似ているということであった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)156

     虎猫も蠅虎も飼ふてゐる  蠅虎(はえとりぐも)

 「ボクの細道]好きな俳句(1203) 小川軽舟さん。「晩秋や妻と向きあふ桜鍋」(軽舟) 「妻と向き合う」とは・・あっ、恥ずかしい(汗)。妻と向き合う(二人暮らし)生活を始めて4年近くになります。呼び名は、おい、おまえ、あのちょっと・・人前では、せいぜい「お母さん」。和子(汗・汗・汗)。臨終の時まで取っておきます。「ありがとう和子」。

木魚歳時記 第3452話

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 東美作(みまさか)一帯を見おろして、脚下を縦横に走る山なみが美しく、明石定国(あかしのさだくに)が都から帰った当座は、好んでその山頂に立って笛を吹き暮らしていたと伝えられる笛吹き山の峰などが低く指呼(しこ)の間にあった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)155

     ただ灼けて天湖への道険しけり

 「ボクの細道]好きな俳句(1202) 小川軽舟さん。「かつてラララ科学の子たり青写真」(軽舟) 「ラララ科学」とは? 楽天主義、天然といわれた少女は未来を夢見て「青写真」(空想)を成就したのでしょうか? 「大きくなったらわたしお嫁さんになるの」そんなことを本気でいう少女は今でも居るのでしょうか? それにしても、ラララ科学の子」とは面白い。

木魚歳時記 第3451話

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 眼前に展開する大きな風景が楽しく、咲きはじめた菩提樹の花の香がなんともなくなつかしかったからである。
 眺望はひとり津山盆地や岡山街道の山峡だけでなく、
(佐藤春夫『極楽から来た』)154

      大唐を出で天竺へ蟻の道

 「ボクの細道]好きな俳句(1201) 小川軽舟さん。「雪景色女を岸と思ひをり」(軽舟) ふむ。海路から岸(陸地)を望むとホツとするものです。ましてや未知の向こう岸が雪景色(女体)であるとするなば・・嗚呼。何歳になろうと(ボクの)彼岸(悟り)への道は期待できません。煩悩と執着の中で暮らしています(汗)。

 

木魚歳時記 第3450話

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 童子はここに来た第一日に春の夕もやのなかに暮れなずむ風景に見とれて以来、何となくここが気に入って、あの広い墓域(ぼいき)の東側に立ち並ぶ菩提樹や、いちょう木立の間に出て来て、よく立った。
(佐藤春夫『極楽から来た』)153

      西方によき話あり蟻の列

 「ボクの細道]好きな俳句(1200)  小川軽舟さん。「ことば呼ぶ大きな耳や春の空」(軽舟) 福耳(耳たぶが大きい)のことでしょうか? 福耳でなくとも、よく聞こえそうな、いい耳タブした人は見かけるものです。「心ひらけた人」の処には、人々が集まります。さて、いよいよ春がやって来ます。