木魚歳時記 第3157話

f:id:mokugyo-sin:20170815064028j:plain

 「今日のことば」
     (狐の幻燈会)
    ひるはカンカン日のひかり
    よるはツンツン月あかり
    たとへからだがちぎれても
    狐の生徒はそねまない。
     (宮沢賢治「雪渡り」)15

 「ボクの細道」好きな俳句(906) 飯島晴子さん。「うしろからいぼたのむしと教へらる」(晴子) 「いぼたの虫」とは、カメムシの一種で、小枝に蝋(ろう)のような塊をこしらえて棲むところから「水蝋虫」(いぼた)と記されるようです。作者は「これなにかしら?」と独り言をつぶやいていたところ、背後から(見知らぬひとに)「それは、いぼたの虫ですよ」と、教えられたというのです。それだけのことです。

        デパートへ涼みに入る某氏S

 

木魚歳時記 第3156話

f:id:mokugyo-sin:20170814084504j:plain

 「今日のことば」
      (狐の幻燈会)
    ひるはカンカン日のひかり
    よるはツンツン月あかり
    たとへこゞえて倒れても
    狐の生徒はぬすまない。
     (宮沢賢治「雪渡り」)14

 「ボクの細道」好きな俳句(905) 寺山修司さん。「影を出ておどろきやすき蟻となる」(修司) 「蟻の道」は夏の風物詩です。しかし、単独行動する「独り蟻」を見かけることもあります。なにかのはずみで「蟻の道」から逸れたのか? 始めから「独り蟻」なのか? それはわかりません。ともかく、そんな「独り蟻」はもの影を選んで歩くというのです。そんな蟻が、突然、カンカン照りの広場に出たとしたら? 蟻は「独り人間」の比喩として用いられています。

        冷房の吹き出し口に坐りけり

 

木魚歳時記 第3155話

f:id:mokugyo-sin:20170813043703j:plain

 「今日のことば」
      (狐の幻燈会)
    ひるはカンカン日のひかり
    よるはツンツン月あかり
    たとへからだを さかれても
    狐の生徒はうそ云ふな。
     (宮沢賢治「雪渡り」)13

 「ボクの細道」好きな俳句(904) 飯島晴子さん。「夏鶯さうかさうかと聞いて遣る」(晴子) 夏鶯とは「老鶯」(ろうおう)のことです。初鶯(春季)の舌足らずの囀りにくらべると老鶯のそれは実に美事なものです。しかし、世間の男たちは、若い女(こ)をちやほやすることはあっても、年増の円熟味には見向きもしない。そんな老鶯の囀り(嘆き)を「そうかそうか」と聞いてあげる。それは作者自身の呟きでもあるのでしょう。

       老いてなほカンナの赤に挑みけり

 

木魚歳時記 第3154話

f:id:mokugyo-sin:20170812065040j:plain

 「今日のことば」
      (狐の幻燈会)
    凍(し)み雪しんこ、堅雪かんこ、
    野原のおそばはぽっぽっぽ、
    酔ってひょろひょろ清作が
    去年、十三ぱいたべた。
     (宮沢賢治「雪渡り」)12

 「ボクの細道」好きな俳句(903) 寺井谷子さん。「本棚のどこかに悪書大西日」(谷子) ボクの長兄(戦死)の本棚に『江戸川乱歩全集』がありました。ボクは小3で登校拒否をして落第しました。毎日、魚獲り、セミ捕り、スカートめくり(まさか)。夜はこっそり「乱歩」を読みました。この全集にはルビがあり、大筋はわかりました。乱歩の「猟奇の世界」もわかりました。けど「大西日」の時刻には読みませんでした(汗)。

    
        炎昼のまつてましたとかき氷

木魚歳時記 第3153話

f:id:mokugyo-sin:20170811064250j:plain

 「今日のことば」
      (狐の幻燈会)
    凍(し)み雪しんこ、堅雪かんこ、
    野原のまんじゅうはぽっぽっぽ
    酔ってひょろひょろ太右衛門が
    去年、三十八たべた。
     (宮沢賢治「雪渡り」)11

 「ボクの細道」好きな俳句(902) 小笠原和夫さん。「鶏の目の少しずれたる暑さかな」(和夫) 養鶏の仕事をしたわけではありません。また、鶏のことを観察した経験もありません。ですから、「鶏の目の少しずれたる」そのことの正確なことはわかりません。しかし、あまりの猛暑に、鶏の左右の目の位置までズレル? そのことはなぜか納得できます。人間が辛くなると顔をしかめるように。

        列島をのろのろ進む雨台風

 

木魚歳時記 第3152話

f:id:mokugyo-sin:20170810064312j:plain

 「今日のことば」
      (やがて二人は)
    堅雪かんこ、凍(し)み雪しんこ
    と歌ひながら、銀の雪を渡って
    おうちへ帰りました。
     (宮沢賢治「雪渡り」)10

 「ボクの細道」好きな俳句(901) 鳥居真里子さん。「噴水の背丈を決める会議かな」(真里子) 現役(大学事務)の時代には、こうした体験は毎日のようにありました。結論は最初から見えています。みんなもそのことはわかっています。つまり「前例の通り」に落ち着くのです。けれども「会議」で衆議を交わしたことにしなければ、おさまりがつかないのです。本当は「噴水の背丈を変える」会議でなければ組織の発展はないのですが・・

       川鵜来て魚を捕りたりナムアミダ 

                    魚(うお)

 

木魚歳時記 第3151話

f:id:mokugyo-sin:20170809054325j:plain

 「今日のことば」
     (かん子も歌ひます)
    狐こんこん狐の子、
    狐の団子は
    兎(うさ)のくそ。
     (宮沢賢治「雪渡り」)9

 「ボクの細道」好きな俳句(900) 八田木枯さん。「外掛けで父を倒せし夏みじか」(木枯) ボクは、親父(師僧)から、このようなこと(掲句)をして遊んでもらった記憶はありません。おなじように、ボクも、息子にこのようなこと(掲句)をして遊んであげた記憶がありません。このようなアットホームな家族環境ではありませんでした。「人生いろいろ花の色もいろいろ」。でありましょうが。息子や娘たちに申しわけないような気もしています。

       本尊は秘仏におはす蝮酒 

                   蝮(まむし)