木魚歳時記 第3129話

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 「今日のことば」
     (狐のうたです)
    きつね、こんこん きつねのこ、
    月よにしつぽが燃えだした。
    わあ、うまいうまい。
    わつはゝ、わつはゝ。きんいろメタル。
     (宮沢賢治「かしわばやしの夜」)7

 「ボクの細道]好きな俳句(878) 安住 敦さん。「本ばかり読んでゐる子の夏畢る」(敦) ブログ作者も、落第(小3)のときは本ばかり読んでいました。長兄(戦死)の残した書斎の本を読みあさりました。とりわけ、江戸川乱歩の猟奇小説を読みあさりました。『青銅の魔人』 『パノラマ島綺譚』 『屋根裏の散歩者』 『陰獣』 などなど。それを姉(6歳年上)にみつかりしばかれました。

       たがめ虫けんかの強い奴だつた

木魚歳時記 第3128話

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 「今日のことば」
     (柏の若い木が)
    うさぎのみゝはながいけど
    うまのみゝよりながくない。
    わあ、うまいうまい。
    あゝはゝ、あゝはゝ、白金メタル。
     (宮沢賢治「かしわばやしの夜」)6

 「ボクの細道]好きな俳句(877) 中村草田男さん。「厚餡割ればシクと音して雲の峰」(草田男) 「厚餡」(あつあん)と読むのでしょうか? ボクは「あん」と読みました。薄皮にアンのいっぱい詰まった饅頭(まんじゅう)を二つにしたとき「シク」と音がした? それはともかくとして「シク」(片仮名)の表記と、「雲の峰」の取り合わせが秀逸です。読者に幸せ感が伝わってきます。ボクも、このごろは、お酒より甘い物が好きになりました。いつも、妻と、豆餅など半分っこしていただきます。

        ががんぼの足大きいぞ蚊の叔母さま

 

木魚歳時記 第3127話

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 「今日のことば」
     (つづき)
    九とうしやうは マッチのメタル
    十といしやうから百とうしやうまで
    あるやらないやらわからぬメタル
     (宮沢賢治「かしわばやしの夜」)5

  「ボクの細道]好きな俳句(876) 福田甲子雄さん。「じりじりと山の寄せくる油照り」(甲子雄) 「山笑ふ」でも「山滴る」でもなく、「山の寄せくる」の迫力がたまりません。しかも「じりじり」が、「山の寄せくる」と「油照り」の両方に効いています。福田甲子雄さんは広瀬直人さんとおなじく飯田龍太さんの高弟(両脇侍)です。

       着席のどの子も汗の匂ひかな

木魚歳時記 第3126話

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 「今日のことば」
     (つづき)
    五とうしやうは とたんのメタル
    六とうしやうは にせがねメタル
    七とうしやうは なまりのメタル
    八とうしやうは ぶりきのメタル
     (宮沢賢治「かしわばやしの夜」)4

 「ボクの細道]好きな俳句(875) 今瀬剛一さん。「鶏小屋に鶏ををさめて旱星」(剛一) 真夏の日暮れは遅い。農家の仕事は、夜明けに始まり暗くなるまで続くのです。最後に、鶏たちを鶏小屋に追い込み、今日の一日はおしまいです。ホッとして空を見上げると、旱星(ひでりぼし)がまたたいておりました。「鶏ををさめて」のことばに、なんともいえない作者の愛情が伝わります。    

       このままで死ぬのはいやじやごきかぶり

木魚歳時記 第3125話

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 「今日のことば」
     (画かきがうたひます)
    一とうしやうは 白金メタル
    二とうしやうは きんいろメタル
    三とうしやうは すゐぎんメタル
    四とうしやうは ニッケルメタル
     (宮沢賢治「かしわばやしの夜」)3

 「ボクの細道]好きな俳句(874)  岡本 眸さん。「雲の峰一人の家を一人発ち」(眸) こんな気持ちは、そうした状況に置かれないと、実感としてわかりません。しかしなんとなく、そうした気持ちになることは想像がつきます。独り暮らしの家から、遠くにいる娘さんを尋ねて旅にでられるのでしょうか。戸締りをしてからバス停までの川沿いの道をゆくと、遠く雲の峰がひときわ目に入ります。

        まくなぎにつきまとはれて帰り道

 

木魚歳時記 第3124話

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 「今日のことば」
     (柏の大王さまは)
    「やがてあなたは みずいろの
    けふのきものを つけなさる
    かしわばやしの よろこびは
    あなたのそらに かゝるまゝ。」
     (宮沢賢治「かしわばやしの夜」)2

 「ボクの細道]好きな俳句(873) 中村草田男さん。「老婆外寝奪はるべきもの何もなし」(草田男) 野ら仕事の昼寝の外にも、昔は、雨戸もガラス戸も、障子も、なにもかも開け放って昼寝をすることがありました。よき時代でありました。老婆とは作者のつれあいのことでしょうか? ある年齢を越えると、夫婦は「中性化」するものでしょうか(汗) つれあいのことを愛しく思う気持ちに変わりはないのですが! 

       次の日もその次の日も冷素麺

 

 

木魚歳時記 第3123話

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 「今日のことば」
     (若い柏の木が叫びました)
    「おつきさん、おつきさん、おつきさん、
    ついお見外れして すみません
    あんまりおなりが ちがふので
    ついお見外して すみません。」
     (宮沢賢治「かしわばやしの夜」)1

 「ボクの細道]好きな俳句(871) 高野素十さん。「端居してたゞ居る父の恐ろしき」(素十) 昔、座っているだけで、ただ怖い「おやじ」が居たのは事実です。ブログ作者のおやじ(師僧)もそうでした。食事も独り「据え膳」でした。ボクたち家族は、すこし離れた「ちゃぶ台」で食事をしました。でも、それはそれでよき時代でした。ボクは、いま、「おやじ」のすべてに感謝しています。

        脳天に黴の生えたる哲学者