木魚歳時記 第3099話

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 「今日のことば」
    (扉に)
     「料理はもうすぐできます。
    十五分とお待たせはいたしません。
    すぐたべられます。
    早くあなたの頭に瓶の中の香水を
    よく振りかけてください。」
    (宮沢賢治「注文の多い料理店」)8

 「ボクの細道]好きな俳句(849) 藤田湘子さん。「養生は図に乗らぬこと春の草」(湘子) 湘子さんの作品は、なぜか、ぼくの脳裏にビリビリと刺激を与えるから困ります。そうです、ぼくは小心者なのに、偉そう(上目線)に振舞います。養生にかぎらず「図に乗らぬこと」と(いつも)自分に言い聞かせていますが・・根性は焼くまで治らないようです(汗)。

       父の日があつてよかつたお父さん

 

木魚歳時記 第3098話

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「今日のことば」
  (扉をあけると)
  「クリームをよく
  塗りましたか、
  耳にもよく塗りましたか。」
  (宮沢賢治「注文の多い料理店」)7

 「ボクの細道]好きな俳句(848) 石田郷子さん。「来ることの嬉しき燕きたりけり」(郷子) 郷子さんの作品が続きます。ボクの寓居(ぐうきょ)のベランダに山鳥が訪れることがあります。もちろん燕も巣作りの偵察にやってきます。巣づくり大歓迎! 毎年「来ることの嬉しき燕」です。しかし、巣作りは実現いたしませんでした。もう6月ですから、本年もおそらく巣作りは実現しないでしょう。燕にも何らかの事情があるのでしょうか?

         訪れは風のたはむれ花うつぎ

 

木魚歳時記 第3097話

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「今日のことば」
      (壺がありました)
   「壺のなかのクリームを
   顔や手にすっかり
   塗ってください。」
   (宮沢賢治「注文の多い料理店」)6

 「ボクの細道]好きな俳句(847) 石田郷子さん。「鹿の瞳の濡れてをりたる若葉かな」(郷子) 郷子さんの作品が続きます。(奈良公園など)放し飼いされた鹿のことでしょうか。俳句に詠われた鹿は、雨上がりの公園で、ふと、近づいた鹿を見ると、可憐な鹿の眸が新緑に濡れていたというのです。しかしあれで(不用意に鹿センベイなど手にすると)かなり手ごわい「おねだり」にあって驚くこともあります。

        夕焼の裾をつづくる掛接屋 

                    掛接屋(かけつぎや)

 

木魚歳時記 第3096話

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 「今日のことば」
    (扉の内側に)
    「ネクタイピン、カフスボタン、
    眼鏡(めがね)、財布、その他金物類、
    ことに尖ったものは、みんな
    こゝに置いてください。」

    (宮沢賢治「注文の多い料理店」)5

 「ボクの細道]好きな俳句(846) 石田郷子さん。「春潮を胸のたかさと思ふとき」(郷子) 石田郷子さんの俳句と出会うと、なぜか心がやすらぎます。17文字の中に、むつかしいことばも、難解ないいまわしも、飛躍した比喩も・・それらがなくてしかも読者の心に迫る「何か」が残ります。作者のお人柄? 作風? そして誰よりも「自然」を愛する気持ちが強いからでしょう。

          短夜の誇大妄想症候群

 

木魚歳時記 第3095話

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 「今日のことば」
    (黒い扉がありました)
   「どうか帽子と外套(がいとう)と
    靴をおとりください。」
   (宮沢賢治「注文の多い料理店」)4

 「ボクの細道]好きな俳句(846) 阿波野青さん。「ささみだれのあまだればかり浮御堂」(青畝) 滋賀県堅田の浮御堂(うきみどう)へは、ぼくも幾度か足を運んだことがあります。掲句のように、その時も、雨の中の浮御堂はひっそりと風情をかもしていました。そのとき「浮御堂ここにあつまる蜷の道」(木魚)の駄句を詠みました(汗)。蛇足ながら、堅田(かただ)は、昔、堅田水軍の拠点。信長の延暦寺攻めにまつわる話も多いようです。

        陋宅の守宮男となりにけり  

                 陋宅(ろうたく) 守宮(やもり)

 

木魚歳時記 第3094話

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 「今日のことば」
    「(扉の内側に)鉄砲の弾丸(たま)を
    こゝへ置いてください。」
    (宮沢賢治「注文の多い料理店」)3

 「ボクの細道]好きな俳句(845) 中原道夫さん。「週刊新潮けふ発売の土筆かな」(道夫) 「文春砲」の標的が「土筆」(つくし)であれば傑作?? さて、NHK朝ドラ「ひよっこ」のナレーター(語り手)は(女子マラソンの)増田明美さんです。ドラマ主人公の心情に合わせて、明美さんの語りかける「お父さん」のイントネーション(抑揚)が実に抜群です。たまらなくすばらしい。こんなふうに、娘から「お父さん」と呼ばれる「父の日(18日)」は、はたして、来るのでしょうか(汗)。

       仙洞の門で媚売る黒蜥蜴 

                 門(かど) 媚(こび)

木魚歳時記 第3093話

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 「今日のことば」
    「(山猫亭入口)お客さまがた、
    ここで髪をきちんとして、
   それからはきものの
   泥を落としてください。」
     (宮沢賢治「注文の多い料理店」)2

 「ボクの細道]好きな俳句(844) 富安風生さん。「勝負せずして七十九年老の春」(風生) ふむ。まるで(ボクの)行動を見透かされたような作品です! おもわず「ドッキリ」としました。というのは、「逃げたらあかん」(石川 洋)さんの言葉もありますが、ボクは、逃げたわけではありませんが、昔、家庭内のちょっとした「修羅場」を大黒さんに押しつけ、見て見ぬふりをしたことがありました。もうしわけないことでした(汗)。

        ほうたるや右源太といふ料理店