木魚歳時記 第3073話

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 「今日のことば」
    蛇
    長すぎる。

    (ルナール『博物誌』)

 「ボクの細道]好きな俳句(829) 正木ゆう子さん。「セシウムのきらめく水を汲みたると」(句集『羽羽』) 東京都の「豊洲」で土壌の汚染が問題となりました。セシウムは人体に有害(セシウム133)とされます。しかし、セシウムを有効に活用する方法もあるのでは? それはともかく、掲句において「きらめく」とありますから、セシウムはプラス方向に機能していると考えます。かつ、セシウムのシリアス(厳粛)で即物的な語感と機能を最大に作用させて成功した作品であります。文芸とは、本来、プラス面を志向するものでしょうか?

         畦道を横切る蛇の長すぎる

木魚歳時記 第3072話

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 「今日のことば」
    蚯蚓(みみず)
    こいつはまた精いっぱい伸びをして、
    長々と寝そべっている一
    上出来の卵饂飩(うどん)のように。
     (ルナール『博物誌』)

  「ボクの細道]好きな俳句(828) 正木ゆう子さん。「唇つけるべき処なく清水湧く」句集『羽羽』) 清水を飲もうと、泉に近づいたところ、その清水のあまりにも透徹さに、一瞬、おのが唇(くち)をよせることに気遅れした。そんな句意でありましょうか。しかし、自分が、飲もうが飲むまいが、そのことにはおかまいなく、清水はこんこんとわき続けています。

         花うつぎ女性高等弁務官 

木魚歳時記 第3071話

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 「今日のことば」
    蜥蜴(とかげ)
    塀 一「なんだろう、背中がぞくぞくするのは・・」
    蜥蜴 一「俺だい」
    (ルナール)『博物誌』)

 「ボクの細道]好きな俳句(827) 正木ゆう子さん。「けふ母を死なさむ春日上りけり」(句集『羽羽』) お母さまを亡くされた・・その日も太陽は真っ赤にのぼる。ふつうは平静でおれるはずはありません。しかし「それでも地球はまわる」。そのことを作者はおっしゃりたいのでしょう。荘厳(大自然の)さと、達観した知性(作者の)をあらためて感じさせる作品です。

         黒揚羽やはりあいつは奉教人

 

木魚歳時記 第3070話

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 「今日のことば」
    羊(ひつじ)
    羊たち一「しかし(メエ)・・しかし(メエ)・・しかし(メエ)
    牧犬一「しかし(メエ)も糞(くそ)もねえ!」
     (ルナール)『博物誌』

 「ボクの細道]好きな俳句(826) 正木ゆう子さん。「蒼々と氷河期がくる星月夜」(句集『羽羽』) 「氷河期」について詳しく書くことはできません。ここでは「生きとし生きるもの」に重大な影響を与える地球環境の急変の意味に受けとめておきましょう。例えば、太陽エネルギーの地球への到達に異変が起これば! 人類は、はたして生存できるでしょうか? それでも「星月夜」とは! これはもう、仏教の悟りの境地です!

        噴水へドン・キホーテの打つて出る

 

木魚歳時記 第3069話

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 「今日のことば」

    驢馬(ろば)
    大人になった兎
    (ルナール)『博物誌』

 「ボクの細道]好きな俳句(825) 正木ゆう子さん。「十万年のちを思へばただ月光」(句集『羽羽』) 正木ゆう子さん。まず、スケールの大きさに感動いたします。ブッダ(釈尊)の説法に接した思いです。いつも大自然と対峙(たいじ)しておられるとこのような作品が生まれるのでしょうか? とりわけ「月光」が効いています。ああ、ボクもこんな作品を作ってみたい・・

       抱擁は夏のはじめの晩でした

 

 

木魚歳時記 第3068話

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 「今日のことば」
    鳩
    二羽の鳩が、ほら「さあ、こっちきて、あんた・・さあ、
    こっちきて、あんた・・さあ、こっちきて、あんた・・」
    (ルナール)『博物誌』

 「ボクの細道]好きな俳句(824) 正木ゆう子さん。「真炎天原子炉に火も苦しむか」(句集『羽羽』) ボクは、原子力発電には疑問があります(効率は良くとも負のレガシーを残す可能性がある?)。日本列島は、山脈(東西)に貫かれ、多くの斜面を有する地形です。効率は悪くとも水力発電を考えてみては? それと、無用な電力消費のことです。例えば、戦後のことを思い起こせば、電力節減(ムダを省くこと)は可能では? 飽食時代のツケを後世に残すことはいけない。

        草原を駆ける少女やアマリリス

木魚歳時記 第3067話

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 「今日のことば」

    むずかしいことをやさしく
    やさしいことをふかく、
    ふかいことをおもしろく。
    (井上ひさし)

 上記の「ことば」は、このブログでもたびたびご紹介をしてきました。この「ことば」は、井上ひさしさんご自身の創作姿勢であったとも伝えられています。この「ことば」には、いくつかのバリエーション(変形)があるようです。しかし、ボクは、上記の「ことば」が好きです。そして、ボク自身の俳句を作る原点としています。

 「ボクの細道]好きな俳句(823) 正木ゆう子さん。「雷神のうち捨ててゆく荒野かな」(句集『羽羽』) 風神雷神に見放された荒野とは? 稲妻(いなずま)とか落雷を怖れ大騒ぎする。これは、人間だけが持つ「イメージ」の世界かも知れません。稲光も、落雷も、地球上の現象の一部にすぎない。しかし、その現象に、強烈なイメージ(関心)を抱かなければ文芸は生まれて来ないのかも? それはともかく、水の惑星であるこの地球を「球形の荒野」と化すことがないように努めなければ!        

         青嵐グミは樹液をたくはへる