木魚歳時記 第3063話

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 放逸(ほういつ)に耽(ふけ)るな。愛欲と歓楽に親しむな。おこたることなく思念をこらす者は、大いなる楽しみを得る。(ダンマパダ)

 「ボクの細道]好きな俳句(819) 正木ゆう子さん。「たらちねのははそはのはは母は羽羽」(句集『羽羽』) 第5句集『羽羽』は、平成21年(作者58歳)から平成27年(64歳)までの300句が収められています。作者は「あとがき」の中に『羽羽』について、母の音を重ねただけで深い意味はない。単純に大きな翼という意味に使うのが最も相応しい。そうした意味のことを記しておられます。さらに、この句集の「あとがき」を書き終えたころ熊本地震があった(作者は熊本県在住)と記されていました。

 「今日のことば」
         苦しいことが多いのは
         自分に甘えがあるからだ
         (石川 洋) 

         古知谷にミイラ仏とや山滴る

 

木魚歳時記 第3062話

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 智慧乏しき愚かな人々は放逸(ほういつ)にふける。しかし心ある人は、最上の財宝(たから)を守るように、つとめはげむことを守る。(ダンマパダ)

 「ボクの細道]好きな俳句(818) 正木ゆう子さん。「公転に遅れじと春の大気かな」(句集『夏至』) 第4句集『夏至』の巻末を飾る作品です。地球の公転と自転、さらに、公転する地球軸の傾斜で地球上の「気象」は定まります。太陽と、地球と、月と、その外の諸条件が、仮に少しでも狂えば、「春」(四季)は遅れるどころか、地球上のあらゆる「生命」(いのち)の存亡すら保証されません。今、地球の温暖化の現象が問題となっています。
 「今日のことば」
         つらいことが多いのは
         感謝をしらないからだ
         (石川 洋)

            老僧はちよろぎのごとく生えにけり

 

木魚歳時記 第3061話

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 思慮ある人は、奮い立ち、努めはげみ、自制・克己(こっき)によって、激流もおし流すことができない島をつくれ。(ダンマパダ)

 「ボクの細道]好きな俳句(817) 正木ゆう子さん。「太陽のうんこのやうに春の島」(句集『夏至』) この作品を見て「正木ゆう子さんの作品と思いたくない。」そんな投書が作者の処に届いたとか? なるほど清楚で華奢な正木ゆう子さん(当時)が「うんこ」の言語など記されるわけがない! これはなにかの間違い? そんな気持ちはわかります。しかし、太陽をめぐる、地球の運行(うんこう)を考えれば、その地球の小さな「島」など、まさに太陽の「うんこ」のようなものです(汗)。

 「今日のことば」
         悲しいことが多いのは 
            自分のことしか分らないからだ
          (石川 洋)

         聖堂にハンカチの花日曜日

木魚歳時記 第3060話

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 こころはふるい立ち、思いつつましく、行いは清く、気をつけて行動し、みずから制し、法(のり)にしたがって生き、つとめ励む人は、名声が高まる。(ダンマパダ)

「ボクの細道]好きな俳句(816) 正木ゆう子さん。「流水にたましひ蒼むまで乗りぬ」(句集『夏至』) 心象作品が続きます。さきに、「やがてわが真中を通る雪解川」(ゆう子)をご紹介しました。いずれも、作者ご自身の心境を詠われた作品と読みました。しかし、掲句には、「雪解川」の作品の激しさよりも、やや達観した清廉さが感じられます。作者の年齢(作品の作られた年代)と関係があるのでしょうか? 

 「今日のことば」
         生きづまりが多いのは
         自分が裸になれないからだ
         (石川 洋)

        女流将士里見四段ハンカチの花

木魚歳時記 第3059話

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 (道に)思いをこらし、耐え忍ぶこと強く、常に健(たけ)く奮励する。思慮ある人々は、安らぎに達する。これは無上の幸せである。(ダンマパダ)

 「ボクの細道]好きな俳句(815) 正木ゆう子さん。「冬眠の蛇身ときをり鱗立つ」(句集『夏至』) 蛇に鱗(うろこ)があることはわかります。しかし、その鱗が「鱗立つ」かどうか? それは想像の域でしょうか? 冬眠中のヘビがどのような行動をするのか、それはスコープ(内視鏡)で観察しなければわかりません。ボクは「鱗立つ」とは、人間の「鳥肌が立つ」ようなものだと思います。それはともかく、掲句は、「女性が蛇に対して抱くある特別な感覚」。それを鮮明に描いて成功した作品のように思います。

 「今日のことば」
         心配することが多いのは
         今をけんめいに生きていないからだ
         (石川 洋)

           平成の日本列島黄砂降る

 

木魚歳時記 第3058話

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 このことをはっきりと知って、つとめはげみを能(よ)く知る人は、つとめはげみを喜び、聖者たちの境地をたのしむ。(ダンマパダ)

 「ボクの細道]好きな俳句(814) 正木ゆう子さん。「めつむりて受くうりずんの夜風かな」(句集『夏至』) 「うりずん」は、沖縄地方の3月(旧暦)の、あたたかくて大地が潤う気候を示す言葉だそうです。さて、掲句は、作者としては比較的に抒情的な作品のように思います。ですから、読者も、沖縄地方の風景を思い浮かべながら、やさしい「うりずん」の夜風に吹かれることにいたしましょう。

 「今日のことば」
         美しさは女性の「武器」であり、
         装いは「知恵」であり、
         謙虚さは「エレガント」である。
         (ココ・シャネル)

          斑猫のここよここよと振り返る 

                     斑猫(はんみょう)

 

 

木魚歳時記 第3057話

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  第二章 はげみ
 つとめ励むのは不死の境地である。怠りなまけるのは死の境地である。つとめ励む人々は死ぬことがない。怠りなまける人は死者のごとくである。(ダンマパダ)

 「ボクの細道]好きな俳句(813) 正木ゆう子さん。「それは少し無理空蝉に入るのは」(句集『夏至』) ヤドカリでありません。それは無理でしょう。しかし、作者はそうした即物的なことを言いたいのではない? つまり「空蝉」(うつせみ)、蝉のヌケガラを見て、和歌の世界にあるような「女性の生きざま」に思いをはせられた? しかし、時間を巻き戻すことはできない。つまり、仏教の説く「諸行無常」(しょぎょうむじょう)の真理に思いをはせられた? 

 「今日のことば」
         流行とは
           時代遅れになるものよ。
         (ココ・シャネル) 

         かなぶんの去りて花唇の鎮もれり 

                      花唇(かしん)