木魚歳時記 第3056話

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 たとえためになることを少ししか語らないとしても、理法にしたがって実践し、欲情と怒りと迷妄とを捨てて、正しく気をつけていて、心が解脱して、執著(しゅうじゃく)することの無い人は、修行者の部類に入る。(ダンマパダ)

 「ボクの細道]好きな俳句(812) 正木ゆう子さん。「あさがほの蕊さし出づるところ白」(句集『夏至』)」 あの濃紺にひらく朝顔も、その蕊(しべ)となるところは真っ白である。ただそれだけのことです。しかし、なんでもないことをなんでもないように詠うことは、できそうでなかなかできません(汗)。さらに「やさしいことをよりふかく」(井上ひさし)ともなると凡人にはとても適いません。

 「今日のことば」
         やっぱりあいつは、
         風の又三郎だったな。
         二百十日で来たのだな。
         (宮沢賢治)

 
          かなぶんは隣の蕊にうつりけり

                        蕊(しべ)

 

木魚歳時記 第3055話

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 たとえためになることを数多く語るにしても、それを実行しないならば、その人は怠っているのである。牛飼いが他人の牛を数えているように、かれは修行者の部類には入らない。(ダンマパダ)

 「ボクの細道]好きな俳句(811) 正木ゆう子さん。「進化してさびしき体泳ぐなり」(句集『夏至』) 掲句の「進化」とは? 地球上の生態系の進化を指すのか? 作者自身の「進化」のことを指すのか? ボクは後者と読みました。例えば、句作活動においても、頂点を極めた次に訪れるもの。それは、進化なのか、停滞なのか、退化であるのか! それはともかく、確かなことは、仏教が説く「諸行無常」(しょぎょうむじょう)がこの世の真理であることに間違いはありません。

 「今日のことば」
         自分自身の道を
         歩め
         (ヘルマン・ヘッセ)

                      花蕊にしがみつきたるかなぶんぶん 

                       花蕊(はなしべ)

 

木魚歳時記 第3054話

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 善いことをなす者は、この世で歓喜し、来世でも歓喜し、ふたつのところで共に歓喜する。(わたくしは善いことをしました)といって歓喜し、幸あるところ(=天の世界)におもむいて、さらに喜ぶ。(ダンマパダ)

 「ボクの細道]好きな俳句(810) 正木ゆう子さん。「噴煙に日面のある大暑かな」(句集『夏至』) 作者の第4句集『夏至』は、第3句集『静かな水』の発刊より7年ぶり、平成14年(51歳)から平成20年(57歳)に発表された250句が収められています。句集のはじめに「半年後、わたしたちは太陽の向う側にいる」とあります。これは地球の自転を意識されてのことでしょう。作者の興味(テーマ)は『夏至』においても、依然、地球規模で持続されるのでしょうか?

 「今日のことば」
         誰もの心に、
         何かに向かって燃える火があります。
         それを見つけ、
         燃やし続けることが、
         私たちの人生の目的なのです。
          (メアリー・ルー・レットン)

         かなぶんへここよここよと花蕊かな 

                         花蕊(かずい)

木魚歳時記 第3053話

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 悪いことをなす者は、この世で悔いに悩み、来世でも悔いに悩み、ふたつのところで悔いに悩む。「わたくしは悪いことをしました」といって悔いに悩み、苦難のところ(=地獄など)におもむいて(罪のむくいを受けて)さらに悩む。(ダンマパダ)

 「ボクの細道]好きな俳句(809) 正木ゆう子さん。「春の月水の音して上りけり」(句集『静かな水』) 句集『静かな水』の巻末を飾る作品です。宇宙飛行船(第1号)のボストーク一船長のことばに「地球は青かった」があります。そうです、地球は「水の惑星」なのです。「水」により、地球上の生命が誕生し、その「いのち」が維持されているのです。地球上の「いのち」の共存を保持するために、地球上の環境を汚してはなりません。

 「今日のことば」
         太陽の光と雲ひとつない青空があって、
         それを眺めていられるかぎり、
         どうして悲しくなれるというの?
         (アンネ・フランク)

         だぼはぜといはれをとこの泣面  

                       泣面(なきっつら)

木魚歳時記 第3052話

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 善いことをした人は、この世で喜び、来世でも喜び、ふたつのところで共に喜ぶ。かれは、自分の行為が清らかなのを見て、喜び、楽しむ。(ダンマパダ)

 「ボクの細道]好きな俳句(808) 正木ゆう子さん。「やがてわが真中を通る雪解川」(句集『静かな水』) 一転、作者の胸中をのぞき見るような興奮を覚えます。清濁あわせ呑みながらゴウゴウと流れ下る「雪解川」(ゆきげがわ)の壮観さは、観る者に独特の感動を与えます。愛と憎しみ、それ以外にも総決算の時期は、やがて、やってくるのでありましょう。そのことを自分自身にいいきかせている自分がいまここにいる。

 「今日のことば」

         わたくしは失敗したことがない。

         ただ、1万通りの、
         うまく行かない方法を
         見つけただけだ。
         (トーマス・エジソン)

         さいた咲いた白藤の花咲きました

木魚歳時記 第3051話

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 悪いことをした人は、この世で憂え、来世でも憂え、ふたつのところで共に憂える。かれは、自分の行為が汚れているのを見て、憂え、悩む。(ダンマパダ)

「ボクの細道]好きな俳句(807) 正木ゆう子さん。「いまは遠き星の爆発しづり雪」句集(『静かな水』) 作者の代表句です。「星」の消滅は爆発(核融合?)にて完結するのでしょうか? ビッグ・バーンを連想する壮大な宇宙のドラマテック・エモーショナル(感動の世界)です。遠い遠い極大の世界である「星の爆発」と、この地球の極微の現象である「しづり雪」。この二物衝撃(取り合せ)の凄さに驚きかつ感嘆いたします。

 「今日のことば」
         過去ばかり振り向いていたのではダメだ。
         自分がこれまで何をして、
         これまでに何だったのかを受け止めた上で、
         それを捨てればいい。
          (スティーブ・ジョブズ)

         春嵐カンバスにある裸婦の像

 

木魚歳時記 第3050話

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 屋根をよく葺いてある家には雨が洩れ入ることが無いように、心をよく修養してあるならば、欲情の侵入することがない。(ダンマパダ)

 「ボクの細道]好きな俳句(806) 正木ゆう子さん。「むささびの腹ほたほたと駈けのぼる」(『静かな水』)ムササビはリス科で夜行性の小動物です。上下肢の間に飛膜が発達し、これをひろげ、夜、樹から樹へと滑空することで知られています。さて、「腹ほたほたと駈けのぼる」は、昼間、不用意に地上に落ちたムササビが、あわてて(飛膜をひろげる余裕もなく)皮膜をたたみ込んだ腹を「ほたほた」させながら樹上にかけ登る。その瞬間をとらえた作品です。

 「今日のことば」
         世界には、
         きみ以外には誰も歩むことのできない
         唯一の道がある。
         その道はどこに行き着くのか、
         と問うてはならない。
         ひたすら進め。
        (ニーチェ)

         僧院に白木蓮のさかりける