木魚歳時記 第3037話

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 真理のことば
  第1章 ひと組ずつ
 ものごとは心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。もしも汚れた心で話したり行ったりするならば、苦しみはその人につき従う。車をひく(牛)の足跡に車輪がついて行くように。(ダンマパダ)

 「ボクの細道]好きな俳句(793) 正木ゆう子さん。「水の地球すこしはなれて春の月」(句集『静かな水』) 作者の第3句集となる『静かな水』は、平成6年(43歳)から平成14年(51歳)まで、作者爛熟期の269句が収録されています。掲句はその巻頭句です。作者の代表句でもあります。正木さんの作品には、広大な宇宙をテーマとしたスケールの大きな作品がいくつかあります。なお、作者は、この句集『静かな水』により、第53回「芸術選奨文部大臣賞」を受賞されました。

 「今日のことば」
         あなたの人生を
         かわりに生きてくれる人はいないわ。
         (ドリー・パートン)

          花筏ながれのままに流れけり 

                      花筏(はないかだ)

 

木魚歳時記 第3036話

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 (ブログ筆者より)
 引き続き、『ダンマパダ』(『法句経』)をご紹介します。『ダンマパダ』は『スッタニパータ』と同様に、現存する経典の中で最古といえる経典の一つです。そこで『ダンマパダ』(中村 元訳)・『ブッダの真理のことば』をテキストに順次ご紹介をしてまいります。ブログの紙幅の関係で、同書にある注記・解説の引用はできません。興味のある方は岩波文庫・青302-1『ブッダの真理のことば・感興のことば』(中村 元著)をご参照ください。

 「ボクの細道]好きな俳句(792) 金子兜太さん。「涙なし蝶かんかんと触れ合いて」(兜太) 蝶はどこからか湧いて出ます。地上の低いところをからまるように、もつれるように流れます。しかし、お互い衝突することはありません。つまり「触れ合う」ことはありません。ましてや「かんかん」と音立てることなどありません。掲句は、蝶の乱舞を「涙なし」と無機質なものに転じることで成功した稀なケースです。凡人が真似して出来ることでありません!

 「今日のことば」
         人生はいたって単純。
         競争なんて本当は存在しないし、
         勝たなきゃいけないレースもない。
          (スーザン・サマーズ)

          物干に空のハンガー花の昼 

                         空(から)

 

木魚歳時記 第3035話

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 (ブログ筆者より)
 3年余り、延べ1149回にわたり『スッタニパータ』(『集経』)についてご紹介をしてきました(前回でおわり)。お釈迦(しゃか)さまの教え、すなわち、仏教を伝える最古の「経典」とされる『スッタニパータ』は、それだけ釈迦さまの説かれたお話の中味に近いといえます。なお、興味のある方は『ブッダのことば』(中村 元訳)・岩波文庫・青301-1(解説・注記付)をご参照ください。

 「ボクの細道]好きな俳句(791) 中原道夫さん。「白魚のさかなたること略しけり」(道夫) だからこそ「白魚」(しらうお)の「おどり食い」など食べれるのです! ボクは「おどり食い」は食べれません。椀の中に白魚の黒い目が散らばるのを想像するとやはりできません。それはともかく、地球上の食物連鎖(しょくもつれんさ)の恩恵で、わたくしたちの生活が成り立っていることを忘れてはなりません。

 「今日のことば」
         もし、私の持っているものが
         私を意味するなら、
         また、私が持っているものを
         失ってしまったら、
         私は誰なんだろう?
        (エーリヒ・フロム)

          青葉風うれしうれしと百千鳥

 

木魚歳時記 第3034話

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 (十六学生の質問の結語)ビギャンはいった「どこにも誓うべきものなく、奪い去られず,動揺することのない境地に、わたくしはたしかにもむくことでしょう。このことについて、わたくしには疑惑がありません。わたくしの心がこのように確信して了解していることを、お認めください。」(スッタニパータ)

                       *『スッタニパータ』おわり  

 「ボクの細道]好きな俳句(789) 井上菜摘子さん。「春愁の頬杖いつぽんづつ外す」(『さくらがい』) (決断は)「さくらふぶきの真ん中」で。とは言ったものの、重大な決断を一気に決めることはむつかしい。どうかすると、Yes・Noが「どうどうめぐり」することもあります。そうした時は「どうどうめぐり」する頭の中、すなわち、頬(ほお)を支える手のひらを「いつぽんづつ」外す外ありません。と、作者は言うのです。「春愁」(しゅんしゅう)の季語が効いてきます。

 「今日のことば」
         森の分かれ道では
         人の通らぬ道を選ぼう。
         すべてが変わる。
          (ロバート・フロスト)

         陋宅に老いのモナドや余花の雨 

                       陋宅(ろうたく)

 

木魚歳時記 第3033話

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 (十六学生の質問の結語)(ビギャンはいった)「師(ブッダ)は、神々に関してもよく熟知して、あれこれ一切のことがらを知っておられます。疑いをいだき、また言(ことば)を立てる人々の質問を解決されます。」(スッタニパータ)

 「ボクの細道]好きな俳句(788) 井上菜摘子さん。「いま決めねばさくらふぶきのまんなかに」(句集『さくらがい』) 作者は、お母さまを「菜の花」の咲くところに「ふはり」と置いてきました。さて、自身のこと(重大事)となると! どのようにされるのでしょうか? それは、さくら雪吹が舞う、今、ここで決めるしかありません。めったに起こりそうにないこと(重大事)の対処を、今、この「さくらふぶきの中」に託そうとする作者の潔よさが伝わってきます。

 「今日のことば」
         人生は自分の思い通りになんか
         ならないと思っている人は、
         自らが思い通りにならないことを
         望んでいる人です。
         (ジョセフ・マーフィー)

          囀りに埋もれ男の咽仏

 

木魚歳時記 第3032話

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 (十六学生の質問の結語)(ビギャンはいった)「わたくしは聖者(ブッダのおことばを聞いて、ますます心が澄む(=信ずる)ようになりました。さとった人(ブッダ)は煩悩(ぼんのう)の覆いを開き、心の荒(すさ)みなく明察あるお方です。」(スッタニパータ)

 「ボクの細道]好きな俳句(787) 井上菜摘子さん。「春の闇なに満たさむと水を飲む」(句集『さくらがい』) 句集(『さくらがい』)の巻頭句です。「春の闇」とは? それは作者にしかわかりません。それを満たすのに「水を飲む」だけで足りる? 作者がまだ「みずいろの時代」(旺盛な作句活動の真っただ中)の作品であるような? などなど、巻頭句として(具体的に示すことなく)読者の興味を引き込み、句集の展開を予見させるにふさわしい巻頭句を置かれたものと察します。

 「今日のことば」
         感動と激怒のシーソーゲーム。
         やめられないわね。
         (ココ・シャネル)

          たちまちに火蛾となりたり青二歳

 

木魚歳時記 第3031話

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 (十六学生の質問の結語)師(ブッダ)はいった「ヴァッカリやバドラーヴダやアーラグィ・ゴータマが(過去の)信仰を捨て去ったように、そのように汝(ギャラン)もまた彼岸に至るであろう。」(スッタニパータ)

 「ボクの細道]好きな俳句(786) 井上菜摘子さん。「ものわすれ麦の青まで巻きもどす」(句集『さくらがい』) いろんな出来ごとが有ったとしても。時間を巻きもどすことはできません! しかし、こう物忘れが多くては! もういちど「麦の青」(青春)にまでタイムスリップしてみたい! ありえないことであったとしても、それに挑戦できるのが「詩の世界」です。作者は、タイムスリップを「麦の青まで巻きもどす」と言葉を磨かれるところが秀逸なのです。

 「今日のことば」
         人の生き方を一番よく表すのは、
         言葉ではありません。
         それは、その人の選択なのです。
         わたしたちの選択とは、つまるところ、
         わたしたちの責任なのです。
         (エレノア・ルーズベルト)

           僧院のタントラ仏や春の夜 

                    タントラ仏=歓喜仏