木魚歳時記 第2996話

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 (学生ボーサーラの質問)ボーサーラがたずねた。「過去のことがらを説示し、悩み動揺することなく、疑惑を断ち、一切の事物を究めつくした師(ブッダ)におたずねするためにここにきました。」(スッタニパータ)

 「ボクの細道]好きな俳句(751) 関 悦史さん。「灯らぬ家は寒月に浮くそこへ帰る」(悦史) 気鋭の作家です。それはともかく、空には寒月が、我が家には「あかり」が灯らない(無人)。そんな家(うち)であったとしても、足は我が家ほ方に向かうものなのです。ふと、山頭火さん、放哉さんの作品のことを思い出します。

 「今日のことば」
         いやな人が
         明日の大切な友となる 
         (石川 洋)

         囀りを容れて大樹の仁王立ち

 

木魚歳時記 第2995話

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 (学生ウダヤの質問)師(ブッダ)は答えた「内面的にも外面的にも感覚的感受を喜ばない人、このようによく気をつけて行っている人の識別作用は止滅(しめつ)する。」(スッタニパータ) 

 「ボクの細道]好きな俳句(750) 山口誓子さん。「スケートの紐むすぶ間もはやりつゝ」(誓子) 「瞬間」をみごとに切り取り、しかも「はやりつゝ」という絶妙の措辞(そじ)を用いて成功した作品です。やはり、誓子さんは俳句の神様です。紐を結ぶ「もどかしさ」この間の、ときめきとドキドキは誰にでも経験があるものです。この共通認識が素地に在ってこそ作品は成功するのです。

 「今日のことば」

           笑顔に 

        開運の 力あり

        (石川 洋)

             黒板に「わたし」と書いて卒業式

木魚歳時記 第2994話

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 (学生ウダヤの質問)ウダヤがたずねた。「どのようによく気をつけて行っている人の識別作用が、止滅(しめつ)するのですか? それをおたずねするためにわたくしはやってきたのです。」(スッタニパータ)

 「ボクの細道]好きな俳句(749) 草間時彦さん。「味噌汁におとすいやしさ寒

卵」(時彦)  こうした(いやしさ)はボクも日常茶飯事です(汗)。(味も見ないで)塩鮭にお醤油をかけたり! カレーライスに生卵を二つも入れたり! 鰻丼(山椒添え)に、さらに七味唐辛子をふったり! そのつど大黒さんに睨まれています。そうです、ボクは、「蛇足」(だそく)の達人、下司(げす)のきわみなのです(汗)。

 「今日のことば」
         中心はいつも 一念不動 
         天地をつらぬけ
         (石川 洋)

         山猫と又三郎の卒業式

 

木魚歳時記 第2993話

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 (学生ウダヤの質問)師(ブッダ)は答えた「世人は歓喜に束縛されている。思わくが世人をあれこれ行動させるものである。妄執(もうしゅう)を断ずることによって安らぎが得られる。」(スッタニパータ)

 「ボクの細道]好きな俳句(748) 小川軽舟さん。「灯火親し英語話せる火星人」(軽舟) 「春灯」(しゅんとう)とあります。春の宵ともなれば、こんなことを考えるのでしょうか? さて「英語話せる火星人」とは? これは、日本人の一般的感覚からはあまりにもかけ離れた存在です。でも「英語話せる火星人」なんて、すごく興味を引かれる表現です。庶民的羨望を背景に、それを巧みに用いて成功した作品です。

 「今日のことば」
         集団の理想と
         自分の良心を
         取りかえるな
         (ヘルマン・ヘッセ)

         空し世の迦陵頻伽よ百千鳥 

             空(あだ)し  迦陵頻伽(かりょうびんが)

 

木魚歳時記 第2992話

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 (学生ウダヤの質問)ウダヤがたずねた。「世人は何によって束縛されているのですか? 世人をあれこれ行動させるものは何ですか? 何を断ずることによって安らぎ(ニルバーナ・涅槃)があると言われるのですか?」(スッタニパータ)

 「ボクの細道]好きな俳句(747) 石原八束さん。「泣きに来し子の坐りたる冬座敷」(八束) 「孫」俳句は面白くない。その定石でいうならば、これは例外です。母親に叱られたのでしょうか? 爺ちゃんのいる冬座敷の処にきて、眼をこすりながら泣きじゃくる孫を見ると爺ちゃんはお手上げです。どうする術(すべ)もありません。それだけの作品です。「子」を「孫」と読むのは無理か?

 「今日のことば」
         自分自身を信じてみるだけでいい。
         きっと、生きる道が見えてくる。
         (ゲーテ)

          丑三つに唇ひらく紙ひいな   

                      丑三(うしみつ) 

木魚歳時記 第2991話

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 (学生ウダヤの質問)師(ブッダ)は答えた「平静な心がまえと念(おも)いの清らかさ、それらは真理に関する思案にもとづいて起こるものである。これが無明を破ること、正しい理解による解脱(げだつ)である。」(スッタニパータ)

 「ボクの細道]好きな俳句(746) 高野ムツオさん。「象を呑む蛇の話や冬籠」(ムツオ)「象を呑む蛇の話」は寓話かと思います。「冬籠」(ふゆごもり)の季語と二物衝撃(にぶつしょうげき)させ、ミステリアスな世界を描いて成功した作品です。さて、ボクも、寓居に移り2年半が過ぎました。日々、清流を眺め亀を鳴かせて遊ぼうと考えながら、相棒を泣かせて困らせています。

 「今日のことば」
         人間のほほえみ、
         人間のふれあいを忘れた人がいます。
         これはとても大きな貧困です。
          (マザー・テレサ)

         菜の花をよぎる列車の長すぎる

 

木魚歳時記 第2990話

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 (学生ウダヤの質問)師(ブッダ)は答えた「ウダヤよ。(解脱を求めるには)愛欲と憂いを捨てること。沈んだ気持ちを取り除くこと。悔恨(かいこん)をやめること。」(スッタニパータ)

 「ボクの細道]好きな俳句(745) 河原枇杷実。「後ろより死は覗くらむ根深汁」(枇杷実) 「根深汁」とは、葱(ねぎ)をいれた汁のことです。独りくらしの男が風邪の微熱を取るために根深汁を作り啜っている。そこに背後から死神が近づき深汁の椀を覗き込もうとしている。と、そんな映像が浮かんできます。

 「今日のことば」
         すべてを今すぐに知ろうとは無理なこと。
         雪が溶ければ見えてくる。
         (ゲーテ)

         春めくやひどく眠たい石地蔵