木魚歳時記 第2989話

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 (学生ウダヤの質問)学生ウダヤがたずねた。「瞑想に入って坐し、煩悩の汚れなく、一切の事物の彼岸に達せられた(師)におたずねします。無明(むみょう)を破ること、解脱(げだつ)について説いてください。」(スッタニパータ)

 「ボクの細道]好きな俳句(744) 能村登四郎さん。「改札に人なくひらく冬の海」(登四郎)「無人駅の人気のない改札を通れば冬の海が広がっていた。」そんな景が浮かんできます。海岸線に山並が迫るようなところを縫って走るローカル線のひとり旅も、また、過ぎた「思い出」をめぐらせるにはぴったりです。

 「今日のことば」
         速度を上げるばかりが、
         人生ではない。
        (ガンジー)

         探しもの見つけましたか二月尽

木魚歳時記 第2988話

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 (学生バドラーブダの質問)師(ブッダ)は答えた「修行者は明らかに知って、よく気をつけ、全世界において何ものにも執してはならない。死の領域に愛着を感じている人々を(執着ある人々)であると観(み)て。」(スッタニパータ)

 「ボクの細道]好きな俳句(743) 西宮 舞さん。「着ぶくれて強情・頑固・石頭」(舞) まるでボクのことです。坊主ながら、執著(しゅうじゃく)に、人一倍にとらわれるアホウです。つまり、強情・頑固・石頭なのです。ですから、執著(しゅうじゃく)に人一倍にとらわれるタイプです。つまり、強情・頑固・石頭なのです。『スッタニパータ』(ブッダの言葉)を毎日ご紹介しながら「執著」(しゅうじゃく)の日々を過ごしています。嗚呼。

 「今日のことば」 

            夢中で日を過ごしておれば、

         いつかはわかる時が来る。

         (坂本龍馬) 

           某のそぞろ歩きや梅の頃

                       某(なにがし)

 

木魚歳時記 第2987話

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 (学生バドラーブダの質問)師(ブッダ)は答えた「バドラーブダよ。上にも下にも、横にでも中間にでも、執著(しゅうじゃく)をすっかり除き去れ。世の中の何者に執著しても、それによって悪魔が人につきまとう。」(スッタニパータ)

 「ボクの細道]好きな俳句(742) 桂 信子さん。「切りむすびたきひとのあり寒稽古」(信子) 作者自身の体験ではない(と思います)。寒稽古(剣道)の場面を想定して、作者の心のうちを17文字に託されたのでしょう。ボクは、剣道のことはわかりません。しかし、寒稽古は真剣勝負ではありません。お稽古なら「切りむすびたき」人の一人や二人おられても問題はありません。職場などでそんなことも!

 「今日のことば」 
         尊厳を保つためには、

         金は必ずしも必要ではない。

         (ガンジー)

          早春の銀河鉄道999  

                                                           999(スリーナイン)

 

木魚歳時記 第2986話

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 (学生バドラーブダの質問)バドラーブダがたずねた「健き人(ブッダ)よ。あなたのおことばを聞こうとして、多勢の人が集まってきました。かれらのために解脱の理法を説明してください。」(スッタニパータ)

 「ボクの細道]好きな俳句(741) 井上菜摘子さん。「返事より雪崩がさきに来てしまふ」(句集『さくらがい』) 連作(前作品の)? それはわかりません。告白をしたその返事(イエス、ノー)が定かでないうちに、結末(破局)がさきに来てしまった。というのです。こうしたことは、だれにでも、一度や二度(人生において)はあるものです。仏教では、これを「会者定離」(えしゃじょうり)と説きます。「出会いがあれば別れもやって来る」ということです。

 「今日のことば」 
         あちこち旅をしてまわっても、
         自分から逃げることはできない。
         (ヘミングウェイ)

           人形の唇ぬれる春の夜

 

木魚歳時記 第2985話

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 (学生バドラーブダの質問)バドラーブダがたずねた「執著(しゅうじゃく)を捨て、妄執(もうしゅう)を断ち、すでに解脱(げだつ)した賢明なあなた(ブッダ)にお願いします。解脱の理法について説いてください。」(スッタニパータ)

 「ボクの細道]好きな俳句(740) 井上菜摘子さん。「風花やくるぶしきれいにして逢はむ」(句集『さくらがい』) 「逢はむ」とは? 誰に? それは「ひかえめにくるぶしきれい」の措辞に示されます(そう思います)。それと「風花」という厳しい季語との取り合わせ。(思うに)過ぎ去りしあの頃の心の葛藤(かっとう)。恋か? それとも? あっ、想像はこれくらいにしておきましょう。

 「今日のことば」 
         人生は道路のようなものだ。
         一番の近道は、
         たいてい一番悪い道だ。
         (フランシス・ベーコン)

         薄氷のそこからさきはわからない

 

木魚歳時記 第2984話

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 (学生ジャトゥカンニンの質問)師(ブッダ)は答えた「バラモンよ。名称と形態とに対する貪(むさぼ)りを全く離れた人には、諸々の煩悩は存在しない。だから、かれは死に支配されるおそれがない。」(スッタニパータ)

 「ボクの細道]好きな俳句(739) 井上菜摘子さん。「狐火がところどころに循環器」(句集『さくらがい』) 「二物衝撃」の取り合わせ句です。「狐火」とは、まさにミステリアス(怪奇性)のある季語です。それと「循環器」(血流)という即物的な言葉を衝撃(しょうげき)させることで特異の世界を描くことに成功した作品です。狐火と循環器を「真っ赤」(色彩感覚)が結びつける役割を果たしています。脳出血、動脈硬化、動脈溜破裂などが発想の根底にあるのかも?

 「今日のことば」  
         毎日を生きよ。
         あなたの人生が始まった時のように。
        (ゲーテ)

          大寒や切れば血の出る決算書

                     決算書=バランスシート

木魚歳時記 第2983話

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 (学生ジャトゥカンニンの質問)師(ブッダ)は答えた「過去にあったもの(煩悩)を涸渇(こかつ)せしめよ。未来にはそなたに何ものもないようにせよ。中間においても、そなたが何ものにも執著(しゅうじゃく)しないならば、そなたは安らかにふるまう人になるであろう。」(スッタニパータ)

 「ボクの細道]好きな俳句(738) 井上菜摘子さん。「踏台を降りて寒九のこの世かな」(句集『さくらがい』) 「寒九」(かんく)とは、寒に入り九日目、厳寒のさなかを指す季語です。さて、「踏台を降りて」とは? 作者が、何か、人生のターンニングポイント(節目)にあたるような大仕事を終えて日常生活に戻られた。しかし、そこにもやはり極寒の日々の暮らしが待ち受けていた。女性の一生とはそうしたものでしょうか? 

 「日のことば」 
       人間には不幸か、貧乏か、病気が必要だ。
       でないと人間はすぐに思いあがる。
        (ツルゲーネフ)

         百千鳥だれか口笛吹いている